ロッテ・ポランコ以前にもあった「肉体的援助」の“珍事件” 高校野球ではハイタッチに適用されてアウトに…「高校生として見苦しい行為」

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表現の統一化を

 今回のポランコ同様、「肉体的援助」という言葉がセンセーショナルな話題になったのが、2015年4月30日の巨人対中日だ。

 3対3の7回、巨人は先頭の村田修一が四球を選んだあと、長野久義の左翼線二塁打で無死二、三塁と一打勝ち越しのチャンス。次打者・実松一成の三ゴロで三塁走者・村田が本塁に突入すると、サード・高橋周平の本塁悪送球でセーフになり、4対3と勝ち越しに成功した。

 さらにボールがファウルグラウンドを転々とする間に、二塁走者・長野も本塁を狙い、悠々セーフで5点目のホームを踏んだ。

 ところが、三塁を回ったときに、勝呂寿統三塁コーチと交錯していたことから、有隅昭二三塁塁審は「肉体的援助を受けた」と見なし、アウトを宣告。5点目も幻と消えた。

 まさかのアクシデントに、川相昌弘ヘッドコーチは「両方が避けなければいけなかった。(状況が)よく見えるのは長野のほうだけど、お互い気をつけないと、ああいうことが起きる可能性はある」と注意を喚起した。

 一方、テレビ中継を見ていたファンも「肉体的援助って何だ?」と耳慣れない言葉に首を捻り、ネット上でも「新婚の長野に肉体的援助(意味深)」「もう少し良い表現はなかったのだろうか」「肉体的援助なんて卑猥な言葉が野球で使われるなんて……恐ろしい」など、さまざまな声が出た。

 野球のルールらしく、「走塁援助」のような表現を一般化してほしいものだ。

久保田龍雄(くぼた・たつお)
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新著作は『死闘!激突!東都大学野球』(ビジネス社)。

デイリー新潮編集部

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