「阿部退場」がSNSで話題沸騰 過去にあった審判と大舌戦を演じた末の“珍退場劇” 「ヘタクソとは言ったが、バカ野郎とは言っていない」と反論も

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退場した試合は全て勝利

 大トリはやっぱり、この人。監督としてNPB史上最多の12回の退場記録を持つマーティ・ブラウンに登場してもらおう。

 広島監督1年目の2006年5月7日の中日戦、3回1死一塁で、荒木雅博の遊ゴロが併殺崩れになり、一塁セーフになった直後、ロマノが暴言を吐いたとして退場処分を受けたことが事件の発端だった。

 ブラウン監督は「ロマノは文句は言ったが、マウンドに戻ろうとしていたのだから、退場はおかしいだろう」と抗議したが、却下されると、突然一塁ベースを引っこ抜き、右翼方面に放り投げたことから、監督就任後、初退場となった。

「ほかに投げるものがなかったから、ベースをぶん投げた」というブラウン監督は、退場を宣告されると、帽子を脱いで審判団に深々と一礼。去り際にスタンドのファンの拍手に応え、帽子を高々と掲げて、カーテンコールまでやってのけた。

 責任審判の鷲谷亘二塁塁審も「抗議は冷静で紳士的だった。ベースを投げてさえいなければ、退場処分になっていない」と好意的だった。

 そして、この退場劇が、カープナインの闘志に火をつける。0対2の5回に代打・末永真史の逆転2点タイムリーなど一挙5得点で、終わってみれば5対3の勝利。“退場パフォーマンス”は、カンフル剤としての意味合いもあったようだ。

 ブラウン監督は翌07年4月10日の巨人戦でも、ボール判定に抗議した際に自らの足でホームベースを埋めてしまい、通算4度目の退場となったが、その後、2008年4月26日の横浜戦まで、自らが退場した6試合はすべて勝利という“不敗伝説”を残している。

久保田龍雄(くぼた・たつお)
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新著作は『死闘!激突!東都大学野球』(ビジネス社)。

デイリー新潮編集部

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