参政党・神谷代表の「親露発言」がロシアの工作を招いた? 専門家は「欧米ではスプートニク=スパイは常識」「ロシアにとって他国で反リベラル政党が台頭することは国益」

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参政党急伸の背景に「ロシア製ボット」疑惑まで

 騒ぎが拡大すると、神谷氏は「私は出演を許可していない」「出演を許可した職員には退職勧告を出した」「スプートニクに出たから親露派はあまりに短絡的だ」などと火消しに走っている。

 さや氏のインタビュー動画が出て以降、ネット上では「参政党の急伸の背景には、ロシア製ボットによる反政府プロパガンダがあったのではないか」という言説まで飛び交うようになった。ブロガーで一般財団法人情報法制研究所の事務次局長兼上席研究員である山本一郎氏がnoteでそうした見解を唱えたことがきっかけだが、

「ありうる話だと思います。実際、ロシアはアメリカ大統領選でSNSを使って世論工作をしたとされています。アメリカ司法省は、虚偽情報を含む動画を制作・拡散させたとしてロシアの国営メディア『RT』職員2人を起訴し、その際、情報の拡散に使われた30以上のドメインが差し押さえられています」(同)

 しかし、アメリカならわかるが日本の参院選にまでロシアがわざわざ諜報機関を使って介入するものだろうか。またロシアにとって、参政党を応援することにどのようなメリットがあるのだろうか。

「そういう考え方自体があることが、日本が平和ボケしている証拠です。世界の中で反リベラリズムの総本山みたいな立ち位置にいるロシアにとって、隣国日本で、参政党のような反リベラルで排外主義的な考えを持つ政党が政権を握ることは大歓迎なのです。ヨーロッパだと極右政党が政権を握っているハンガリーとロシアは良好な関係を持っている。参政党が躍進することで、自民党政権が揺らぎ、日本の政情が不安定化すること自体もロシアにとってメリットになる話です」(同)

参政党はロシアのプロパガンダに毒されている?

 そして、「過去、神谷代表が親露発言をしていたことからロシアにマークされるようになったのではないか」との見解を示すのだ。

 参政党のホームページには、22年3月15日付で〈ウクライナのゼレンスキー大統領は愛国者か?〉と題した筆者不明の論文が掲載されている。下記は一部を抜粋した文章である。

〈ゼレンスキー氏はロシアに全力で対抗するウクライナの愛国者のようだが本当にそうだろうか? 2014年にフランスとドイツが仲介の労を取りロシア・ウクライナ間の停戦協定がベラルーシの首都ミンスクで結ばれている。このミンスク合意に反して国内のネオナチやアゾフ大隊・連帯と呼ばれる極右勢力を使い、ロシア系の自国民が住むウクライナ東部ドンバス地方を執拗に攻撃したのが彼だ〉

〈トルコ製のドローンまで使ったネオナチ勢力の攻撃に、生命財産の危険を感じたロシア系ウクライナ人がプーチンに助けを求めたのが、今回のロシアのウクライナ侵攻に繋がっているのは確だ〉

 2014年のマイデン革命後のウクライナの政権交代も〈非常に不透明〉として、

〈首都キエフでユーロマイダンという勢力が騒乱を起こし、民主的な選挙で選ばれたヤヌコビッチ大統領を失脚させた。この騒乱の陰には当時現職の米国政府国務省高官の影が色濃くうごめいていると言われている。その流れを汲み2019年にゼレンスキー大統領が生まれている。彼は東部ウクライナ出身でロシア語話者だが、ユダヤ系の出身だということも重要な判断の材料だ〉

〈これらのことからボクにはどうしてもゼレンスキー大統領がロシアを執拗に挑発し、それに耐えかねてロシアが侵攻してくれば和平を拒否し、徹底抗戦のふりをしてウクライナを破壊したというように見えてしまう〉

 この論文についてジャーナリストは「完全にロシアのプロパガンダに毒されている。戦争に至る経緯がロシアに都合の良く恣意的に解釈されている」と指摘する。

 ネット上には、過去、神谷氏がこの論文と同じような論調で語っていたとされる動画の切り取り画像も残されているのだ。

「誰が仕掛けたかがわかるっていう話ですね」
「ロシアを潰したい思惑があるんでしょう」
「ゼレンスキーーさんなんか元々芸人さんですから」
「ロシア系の住民を殺しちゃったりとかやってきた結果」
「ロシアが怒って侵攻してという流れですから」

 ジャーナリストは「こうした参政党の親露的な姿勢を知り、工作員が動き始めたのではないか」と語るのである。

 投開票まで1週間を切ったタイミングで突如浮上した「ロシアの選挙介入疑惑」。もし事実ならば看過できない話であり、一刻も早い真相解明が求められる。

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