参政党・神谷代表の「親露発言」がロシアの工作を招いた? 専門家は「欧米ではスプートニク=スパイは常識」「ロシアにとって他国で反リベラル政党が台頭することは国益」
参院選東京選挙区に出馬している参政党のさや氏がロシア国営メディア「スプートニク」のインタビュー動画に出演したことを契機に、突如、ロシアによる選挙介入疑惑が浮上した。ロシア政情に詳しいジャーナリストは「欧米ではスプートニク=ロシア諜報機関は常識」とした上で、「過去、神谷宗幣代表が親露発言していたことが工作を受けるきっかけになった可能性がある」と指摘する。
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【写真】笑みを携えながら「ロシア工作員」の疑いがある記者からのインタビューを受ける参政党の女性候補と、神谷宗幣代表の「過去の親露発言」としてネット上に出回っている「切り取り画像」
ニコニコとインタビューを受けていたさや氏
「一般論として、他国の世論や意思決定に自身にとって好ましい情報環境を醸成するための偽情報拡散を含む影響工作を展開している例が国際的にある」
7月16日、青木一彦官房副長官は参院選へ外国が介入している可能性について記者から問われ、このように否定しなかった。
ネット上でロシアによる選挙介入疑惑が持ち上がったのは、14日、「スプートニク」日本編集部がXで参院選東京選挙区から出馬しているさや氏のインタビューを公開してからのことだ。事前調査でさや氏は一歩リードし、当選圏内にいると言われている。
約15分間の動画の中で、さや氏は笑みを携えながら出馬した理由についてこう述べていた。
「20代の半ばくらいから、キャスターとして色々な保守系の先生方のお話を聞かせていただいてきたが、現実は変わらない。政治を担っている人は全く違うパラレルワールドで生きているからです。日本の政治はいつまで経っても変わらない」
参政党について問われると、
「日本人ファースト、日本人の国益を第一に考える、そして先人たちの思いをしっかりと受け継いでいく、日本の誇りを取り戻そうとしている数少ない政党です」
インタビュアーは「スパイ」だった?
事情に疎い日本人が見れば、一見、さや氏が外国メディアの取材を受けただけの動画にも見えるが、ロシア政情に詳しいジャーナリストはこう指摘する。
「欧米では『スプートニク=ロシアのスパイ機関』は常識です。22年、ロシアがウクライナに侵攻して以降、EUでは、スプートニクをロシアのプロパガンダ機関として認定し、配信や放送をEU域内で禁止しているし、アメリカでもIT大手各社がアプリをダウンロードサイトから削除したり、広告収入を得られなくするなどの対策を打ち出しています」
スプートニクの記者もロシア連邦保安庁(FSB)の諜報員である可能性が高いという。
「今年6月30日、旧ソ連構成国でありながらもロシアと関係が悪化しているアゼルバイジャンでは、司法機関が首都バグーにあるスプートニク支局を違法な資金提供の容疑で摘発、記者2人を拘束しています」(同)
インタビュー動画では、辿々しい日本語で「さやさん、一つだけ確認させてください」と質問する男性記者の声が入っているが、この人物は工作員の可能性があるというのである。
「国会議員を目指そうと考える人が、知らないで取材受けちゃいました、で済まされる話ではありません」(同)
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