AIブームで儲けた個人投資家が「トランプショック」で苦悩 増えた余剰資金、どこに投資すべきか 専門家が解説する“落とし穴”とは

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 2025年前半、AIブームに乗って利益を得た個人投資家たちが今、頭を悩ませている。「トランプショック」を経験し、高値圏の米国株に再投資すべきか、それとも円安の今のうちに円転すべきか──。この難局面を専門家であればどう乗り切るか。第一生命経済研究所首席エコノミスト・永濱利廣氏の“少し意外な”アドバイスとは。

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エヌビディア株ブームで一儲けした30代会社員

 外国株経験3年になる会社員Aさん(37歳)は、昨年来のAIブームに乗って人気銘柄であるエヌビディアに投資。今年春に値崩れの兆しがあったところで全て利確。外国株の証券口座に1万ドルほどの余剰資金を得ることに成功した。

 足元ではエヌビディアが再び値上がりに転じて、7月9日の取引時間中に164ドルに達し、上場企業として世界初の4兆ドルを突破。「利確を早まってしまった」と後悔の気持ちもあるが、4月のトランプショックで一時100ドルを割ったタイミングもあることを考えると、もっと安値で投げ売りしてしまっていた可能性もある。

 気を取り直して、「この1万ドルをどうするか」を考えることにした。

 ただ、トランプショックを目の当たりにした今、高値圏で推移するアメリカ株がこのまま一本調子で上がり続けるのか、不安に感じる。

 為替に目を向けて見ると、こちらは7月に入って以降、じわじわと円安ドル高が進行している。7月1日には1ドル142円台だったものが、7月15日時点では147円台で推移しており、約4%弱も円安が進んでいる。
「それならばいっそ、円安の今のうちに"円転"してしまおうか……」

 しかし日本はインフレ進行の真っただ中。今後もキャッシュとしての「円」の価値は目減りしていくことが考えられる。

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