AIブームで儲けた個人投資家が「トランプショック」で苦悩 増えた余剰資金、どこに投資すべきか 専門家が解説する“落とし穴”とは
「Aさんの感覚はおおかた間違っていないと思いますが……」
株式よりリスクが低く、安定した利回りを得るための選択肢としては、国債がある。特にアメリカ国債はFRB(連邦準備制度理事会)が利下げに転じれば債券価格の値上がりも見込める投資先に思えるのだが、いかんせん為替が読めない。
FRBが利下げを、日銀が利上げを進めるのであれば、日米の金利差が縮まることで円高基調になるであろうことは、素人考えでも思い至る。果たして円高が進んだとき、債券のリターン額はそれを上回ることができるのだろうか。
為替の動向が見通せない中で、長期国債で資金をロックされるのは、それはそれで居心地が悪そうだ……。
「Aさんの感覚はおおかた間違っていないと思いますが、そもそも1つの答えを見つけようとする考え自体が誤りかもしれません」
そう話すのは、第一生命経済研究所首席エコノミストの永濱利廣氏である。
「アメリカ株、日本円への利確、米国の長期国債、どれを取っても確定的なメリットがありません。となると、導き出される答えは自ずと明らかになってきます」(永濱氏)
「いま行動すべき」という焦りは、個人投資家にとって“落とし穴”になりかねないという。
トランプ関税の影響が企業決算に表れはじめる
永濱氏は夏以降に世界経済が悪化し、それが為替にも影響し始めると予測しているという。
「誰も完璧に読むことはできませんが」と断った上で、次のように展望を語った。
「これから夏以降にかけて、トランプ関税の影響が企業決算に表れはじめることで、世界経済の悪化が見込まれます。そうすると、株式投資はいったんリスクオフとなって、株価は下落する可能性があります。すると今度は、アメリカの利下げ期待が高まります。実際に利下げが再開されれば、為替は円高に振れるでしょう」
では、そうした経済状況を見据えた時、Aさんが取るべき“最適解”とは――?
「確定的なメリットを見込める選択肢がないのであれば、答えは“分散投資”に尽きるのかなと思います」
先行きが不透明ゆえ、日本株、海外株、そして国内外の債券を持っていくことが一つの正解だという。
〈有料記事【頭を悩ます個人投資家たち…AIブームで増やした余剰資金の投資先は「再びアメリカ株」で本当に正解なのか? “最適解”を専門家が解説】では、永濱氏が推奨する“ある投資機関”のポートフォリオを参考にした具体的な資産配分方法や、より詳しい2025年後半の世界経済の見通し、為替の変動範囲、そして年齢別で見る個人投資家が取るべき「最善の投資戦略」について詳述している〉
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