中国に「2-0」勝利も「森保ジャパン」課題は攻撃陣か…名波コーチが「チャレンジしていこう」と鼓舞するも“個での勝負”に物足りなさ

スポーツ

  • ブックマーク

 韓国の龍仁(ヨンイン)で開催中のEAFF E-1選手権の第2節が12日に行われ、日本は中国と対戦し、FW細谷真大とDF望月ヘンリー海輝のゴールで2-0の勝利を収めた。15日には同じく2連勝の韓国と優勝をかけて激突することになった。【六川亨/サッカージャーナリスト】

 ***

 現地の報道では、スタメン11人をホンコン・チャイナ戦から入れ替えた日本に対し、中国ファンは「日本チームは3軍、4軍だ」と非難しつつ、「それでも勝てないかもしれない」と悲観していた。W杯アジア最終予選の初戦、0-7という大敗の苦い記憶が残っていたのだろう。

 しかしデヤン・ジュルジェヴィッチ監督は、最終ラインに多くの人数を配置して守備固めをすることはなかった。ベースは3-4-2-1で、日本ボールの時は両ウイングバックが下がる5-4-1、もしくは4-4-2からオープンな試合を挑んできた。

 どの国にとっても、今大会の優勝や勝利に特別な意味はない。森保一監督は新戦力の発掘に重きを置いているように、中国にしても将来を見据えてのチーム作りの一環に今大会を利用しているのだろう。ジュルジェヴィッチ監督のゲームプランは当然と言えた。

 結果は初戦で韓国に0-3の完封負け。そして日本戦も0-2とノーゴールに終わった。

 それでも前半7分にはこぼれ球のカウンターからFWジャン・ユーニンがGK早川友基と1対1の絶好機を迎え、後半7分にはサイドチェンジからのカットインでMFワン・ユードンが強シュートを見舞った。

物足りなかった攻撃陣

 いずれもGK早川の好判断でゴールを許さなかったが、チャンスシーンを作れたことは中国にとって自信になったのではないだろうか。

 ただ、このシーンと37分にMF長友佑都がFWウェイ・シーハオのシュートをブロックした以外に中国のチャンスらしいチャンスはなかった。

 その理由はビルドアップに時間をかけたため、ことごとく日本の素早いプレスによる囲い込みにボールをロストしていたからだ。

 森保ジャパンだけでなく、近年のJリーグでもボールロスト後の守備への切り替えの速さと、複数の選手による囲い込みからのボール奪還は当り前のプレーになっている。

 これがW杯アジア最終予選における日本の強みであり、課題はイランやイラクら中東勢がロングパスによるカウンターで日本のプレスを無効化しようとしていることへの対応策だ。

 加えて猛暑など過酷な環境でも衰えない日本の運動量は、これまでの国際大会、とりわけ中東での戦いで培ってきたコンディショニング調整の成果であり、日本の強みといえるだろう。

 翻って物足りなさを感じたのが攻撃陣だ。初めてとなる組合せも多いため、初代表のFW原大智も「動き出しのタイミングがなかなか合わず、パスを引き出せなかった。初めてプレーする選手も多く、特徴をつかめなかった」と難しさを語った。

次ページ:勝負を避けた俵積田

前へ 1 2 次へ

[1/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。