派遣された会社で邪険に扱われることもしばしば…それでも「コンサル」が東大・京大生の最新版「就活人気ランキング」で上位10位を席巻する理由

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 近年、「ボストン コンサルティング グループ」や「アクセンチュア」をはじめとした有名コンサルファームが、東大生や京大生の人気就職先の常連に。最新の就活人気企業ランキングでは“驚きの結果”も飛び出している。一方で大手コンサルファームの元社員は「あいつらにいくら払ってるんだ、という目で見られることもあります」と、その苦しい日々を振り返る――。

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※本稿は「週刊新潮」2025年7月17日号掲載の特集記事【短期集中連載第1回 コンサル業界の光と影 なぜ東大・京大生にコンサルは圧倒的人気なのか】の一部を抜粋/編集したものです。

多くは20世紀初頭にアメリカで誕生

 知恵ある者の話に耳を傾ける、というのは人間社会で太古の昔から続けられてきた行為である。ビジネスの世界でそれを生業(なりわい)とするのがコンサルタントだ。ちなみに、組織としてコンサルティングの仕事を請け負う事業体は「ファーム」と呼ばれ、多くは20世紀初頭にアメリカで誕生した。

 現在までに名門ファームとしての地位を揺るぎないものにした「マッキンゼー・アンド・カンパニー」が創設されたのは1926年で、日本オフィスが開設されたのは71年。それと前後して「ボストン コンサルティング グループ(BCG)」や「A・T・カーニー」なども日本進出を果たしている。これらのコンサルファームは全社的な経営戦略策定を担うことから「戦略系」に分類される。

 一方、同時期に日本国内でも多くのファームが誕生している。60年代には「シンクタンク系」と呼ばれる「野村総合研究所」や「日本総合研究所」、80年代以降には、「総合系」の「アビームコンサルティング」や「デロイト トーマツ コンサルティング」などが設立されている。

「総合系」とはビジネスの流れの“上流”にあたる経営戦略から“下流”のオペレーションまでを手掛けるファームのこと。近年、勢いのある「総合系」ファームとしてメディアなどでよく取り上げられる「アクセンチュア」という社名はビジネスに関心がない人でも聞いたことがあるかもしれない。

「会社の中枢に土足で踏み込みやがって」

 そもそも、人々がコンサルという仕事に対して抱いているイメージはどのようなものだろうか。基本的に誰でもコンサルを名乗ることは可能なため、怪しげな業者や個人コンサルは無数に存在する。

 また、モノづくりを重視する古き良き日本の企業人からは「虚業」と見えてしまう側面もあるだろうし、彼らが放つ「カタカナ言葉」に嫌悪感を示す方も多かろう。コンサルを受け入れる企業側からは

「会社の中枢に土足で踏み込みやがって」
「高額の報酬に見合う成果が出ていない」

 といった怨嗟の声もよく聞こえてくる。

 アクセンチュアの50代の元社員が語る。

「クライアントの会社に常駐していると当然ながら“どこの誰だ”、“あいつらにいくら払ってるんだ”という目で見られることもあり、そうしたプレッシャーの中でも成果を出さなければなりません。アウトプットの質が低かったり、立ち振舞いに問題があると、本人はもとよりチーム全体がよりシビアな目で見られることになります」

 しかし、就職活動をする学生にとってはそんなコンサルが「憧れの職業」だというのだから不思議なものである。就活サイトを運営する「ワンキャリア」が東京大学、京都大学に在籍する27年3月卒業見込みの大学3年生・大学院1年生を対象に調査した「就活人気企業ランキング」では、人気トップ10のうち、実に7社がコンサルファームとなっているのである。

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