「運動会や遠足の日を待つような気持ち」 元NHK名物実況アナが明かす“相撲愛”
藤井康生アナ、インタビュー第5回
元NHKの藤井康生アナウンサー(68)は40年間、大相撲の実況を担当してきた。きっかけは、大学の就職課の掲示板で偶然、見つけたNHKの局員募集だったという。北海道・北見での新人時代、今も変わらぬ大相撲への“愛”を語ってもらった。(全5回の第5回)
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もともと、アナウンサーになりたかったわけではなかったんです。大学4年生の秋、周りの友人が就職の内定をもらい始めている中、私は全く就職について考えていませんでした。
そんな時、たまたま大学の就職課の掲示板で、NHKの局員募集を見つけたのです。当時はネットで調べる時代ではなく、張り紙でした。テレビを嫌いではなかったので、受けてみようかなと思い、願書を出すことにしました。
文系の学生の場合、願書にはディレクター、記者、アナウンサー、一般の4つの職種があり、希望順を書く欄があったんです。他にどこも就職試験を受けていなかったので、NHKに引っかからないと困ると思っていました。毎年、NHKで採用数が一番多いのがディレクター、その次が記者でした。
ですので、第1希望をディレクターと書いて、第2希望を考えたとき、私は書くことが好きではないので、記者よりはアナウンサーかな、と。岡山出身で岡山弁丸出しの私が、東京に4年いたからといって標準語を完璧に話せるわけではなかったですが、アナウンサーを第2希望にしたんです。
願書を出しにいったら、「第2希望にアナウンサーと書いてありますが、NHKは音声テストという特殊な試験があるので受けてみますか?」と聞かれ、「受けます」と答えたんです。
一次試験では、筆記や面接のほか、ニュース原稿を読むテストがありました。一次試験に合格し、二次試験では、「あなたはアナウンサー職で受けてください」と言われ、職種が決まったんです。最終的にNHKに入局しましたが、本当に他の会社は何も受けていませんでした。NHKがダメだったら、法学部だったので学校に残って、悪徳弁護士でもなろうかと考えていたくらいです(笑)。
NHKでの最初の配属先は、北海道の北見放送局でした。日本で一番北にある放送局です。私が赴任するまで、18年連続で新人アナウンサーが配属されていて、注目の場所でした。
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