「押し相撲」が主流になり、手に汗握る熱戦は減った…元NHKアナが指摘する「力士の巨大化」問題

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藤井康生アナ、インタビュー第4回

「体重や身長の制限を見直すべきではないか」。40年近く大相撲を見続けてきた元NHKの藤井康生アナウンサー(68)が、相撲界の構造的な問題を指摘する。力士が巨大化した現代の相撲をどのように見ているのか。その解決策とは。(全5回の第4回)

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 解説者の北の富士さんとお話ししていた頃、「昔とは全然時代が変わった」とよくおっしゃっていました。確かに、今はコンプライアンスやハラスメントが重視され、すぐに表面化し、そこで厳しく糾弾される時代です。

 北の富士さんが生きてきた昭和30、40年代の大相撲界では考えられないような転換期を迎えています。よく言っていたのが、「俺たちは殴られようが何されようが、それ当たり前だった」「稽古場で1日10発、20発殴られるのは普通のこと」とおっしゃっていました。

 もちろん、人を傷つけたり、命に関わったりすることは絶対にダメです。ただ、頭からぶつかり合うような格闘技の世界で、師匠が弟子を育成し、強くしようとする時に、「手も出さずに口だけでどう教えればいいのか」「これほど難しい時代はない」ともおっしゃっていました。

 八百長の問題ですか? これは1対1の勝負ですから、チーム競技とはまた違います。何も道具を持たず、「まわし」しかないような姿で体を張っている競技ですから、人の心は動きやすいです。

 誰だって「今日は力が出ないな」「やる気がないな」という日はありますよね。普通の仕事をしていても。それが1対1の勝負では表面に出やすいです。わざと負けようとするわけではないのですが、相撲というものは、力を抜こうと思えば抜ける競技です。

 お金が動くような「八百長」はないと思いますが、「今日はやる気ないな」という気持ちの力士はいるでしょう。それは仕方がないかもしれません。人と人との勝負で心が動く部分はしょうがないかなと思います。

 ただ、私は長年相撲を見てきて、「この相撲はおかしいな」と感じたことはありません。見る側も、力士たちが真剣にやっているという視点で見ないと、面白くないと思います。

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