「50年に一人の逸材」元NHK実況アナも絶賛する新横綱・大の里、伊勢神宮でのマル秘エピソード

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「来年こそ横綱に」

 巡業は大変ですから、一日休みだ、ホテルでゴロゴロしたり、タブレットでゲームをしたりする力士が多い中、わざわざ伊勢神宮までお参りに来ていたんです。きっと「来年こそ横綱に」といった思いを込めてお参りに来たのではないか、と思いました。

 世間では、二人の横綱、大の里と豊昇龍の頭文字を取って、「大豊時代」と呼ぶ人もいますが、私は時期尚早だと思っています。まだまだ実績が足りません。もう少し見ていって、この二人が場所ごとに優勝を争うようになれば、その呼び方をしてもいいかもしれません。

 大の里に関しては、相撲人生のまだ10分の1くらいだと思います。ここからどれだけ花が開き、「ものすごい男だな」と思わせることができるのか。それだけの素質と可能性が大いにあると思います。

 見ている側からすると、大の里を中心に良い時代になってほしいという期待があります。断然強く、めったに負けない横綱に「誰が土をつけるんだろう」ということを、相撲ファンは一番楽しみに見るのだと思います。地位が上がっていくと、負けることがニュースになる、そういう存在になっていくわけです。

 そうした重圧に潰されずに、もっと精進して、彼が引退する時に「すごい横綱だったな」と言われるようになってほしいなと思います。一番は、怪我をしないことです。今の相撲界は、力士が大きくなりすぎていて、自分自身の体を支えきれずに、足首や膝の怪我が多いという現状があります。怪我をしないことを願うばかりです。

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 第3回【白鵬は「本当に気の毒」 元NHKアナが明かす複雑な心境 大横綱たちはなぜ、消えていくのか】では、今年6月に日本相撲協会を退職した元横綱・白鵬について語る。

藤井康生
1957年、岡山県倉敷市出身。79年にNHKに入局し、大相撲や競馬、オリンピックなどの中継を担当する。2022年から「ABEMA大相撲LIVE」で実況を担当。近著に『大相撲中継アナしか語れない 土俵の魅力と秘話』(東京ニュース通信社)。YouTubeチャンネル「藤井康生のうっちゃり大相撲」が人気。

デイリー新潮編集部

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