「50年に一人の逸材」元NHK実況アナも絶賛する新横綱・大の里、伊勢神宮でのマル秘エピソード

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藤井康生アナ、インタビュー第2回

 50年に一人の逸材――。大相撲中継の名実況で知られる元NHKの藤井康生アナウンサー(68)が、新横綱・大の里に寄せる期待は大きい。身長192センチ、体重190キロ超の巨体でありながら、瞬発力も兼ね備えた力士の可能性を語る。(全5回の第2回)

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 私の近著『大相撲中継アナしか語れない 土俵の魅力と秘話』(東京ニュース通信社)でも、次の横綱候補は「大の里」と“即答”しました。記録の面では追いつかないかもしれませんが、強さという点だけを考えれば、30年、50年に一人くらいの強さの横綱になれる素質があります。

 魅力は、まずその並外れた体です。体が大きすぎるぐらいの大きさでありながら、それを全く持て余していない。力を完全に相手に伝え、後ろに持っていかせるだけの体と芯の強さ、柔らかさがあります。

 さらには、出足の鋭さ、スピード、全てが総合的に非常に高いレベルにあると思います。身長192センチ、体重190キロを超えるあの体で、あれほどの瞬発力はなかなか出ません。まだ荒削りな部分もありますが、それでもあれだけ堂々と勝てるわけですから、もともと持っている素材が違うと感じます。

 心技体で言えば、「体」はもう文句なしに十分でしょう。「技」と「心」は、まだまだこれから磨くところがたくさんあると思います。それだけ、さらに強くなる素質を持っているということです。

 メディアへの対応も丁寧ですし、勝ち負けに一喜一憂せず、負けたからといって、今日は喋らないということもありません。負けても、できる限り対応しようとしますし、周囲に気遣いができる心も広い大物だと思います。

 一つ、信心深いのかなと思ったことがあります。昨年12月だったと思いますが、私が伊勢神宮に仕事で行く機会があったんです。ちょうどその時、三重県津市で巡業があり、力士たちは巡業の前日が一日休みの日があったんです。

 その日に、浴衣を着た大の里と付け人の二人を伊勢神宮で見かけたんです。軽く頭を下げて、しゃべることはありませんでしたが、「おや?」と思いましたね。

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