面接で「社長と寝られます?」 業界の闇を経験したベテラングラドルが「芸能マネ」を始めて変えたいコト

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誰かを支えたい、わけではなく…

 平塚が芸能マネージャーには芸能界の様々な問題を解決したいという思いがあったという。

「芸能の仕事が嫌じゃなく、芸能事務所やマネージャーとの関係が嫌で辞めちゃう子を減らしたいんです。私自身の経験としても、マネージャーと相性がいいと仕事もやりやすいし、モチベもパフォーマンスも上がるんですよ。逆に周りの子の中には才能はあるのに結局マネージャーと合わないから、辞めるとか全然いて。そこは引っかかったんです」

 現在は事務所に所属するアイドルなどを担当している。ただマネージャーとしては厳しい考えのようだ。

「マネージャーをしていると言うと、よく『誰かを支えることが好きなんだね』と言われるんですけど、そうじゃないんですよ。別に人と深く関わりたいとは思ってないんです。飼っている猫が一番なので(笑)。仕事をする上で、連絡が遅かったり、遅刻をしたり、基本的な自己管理ができない子がいますよね。そういう子は安心して現場に送り出せなかったりします。売れたいのならまずは基本的なことをきちんとやってほしいですし、それができるようになるために私も頑張ります」

事務所の面接で…

 タレントとしておよそ20年。その間に芸能界の問題にも直面してきた。例えば枕営業がそうだ。

「私自身はないんですが、知り合いの知り合いとかがこうだったよという話は聞きます。それに事務所を探している時期に、ある事務所の面接ではっきりと『社長と寝れますか?』と言われました。『寝れません』と返したら『じゃあ無理です』と面接は終わって。そうした経験をした方も少なくなかったと思いますし、それがよくないことだという認識が広まったため、今はクリーンになったのかなって思います」

 さらに女性タレントが接待要員として有力者の飲み会に赴くのにも疑問を呈す。

「タレントの女の子によっては夜に監督とかと飲みに行って、仕事をもらえると思っている子たちもいて。でもそこでもらえるお仕事ってほぼないし、もらえても望んだような内容じゃないことが多い。周りにそういう子がいたんですけど、飲み会のたびに誘われたり、『ほかの女の子を連れてきて』と頼まれたり。だいたい飲みの場じゃ演技ができるとかも何もわからないじゃないですか。それなのに『今度次回作に呼ぶよ』とかおかしいなって」

「そうして仕事を取れる子もいるから全否定はしないんですけど、そればっかりじゃしようもないじゃないですか。知り合いでも『飲み会に行って仲良くすれば仕事をもらえるかもしれない』って言う子がいるんですけど、じゃあ仕事をもらえたの?って聞いたら『今はまだ』って。それを長年やっていたんで、心配になっちゃうんですよ」

 その発言からは少しでも芸能界やそこで働くタレントがより良い方向に進んで欲しいという思いが感じられる。

 平塚は今後、マネージャーとしての仕事と同時に、芸能活動も需要がある限り続けたいという。

「グラビアについてはラストと決めていないですし、出版社が声をかけてくれるならやりたいです。本当は首から下だけのグラビアとかやりたいんですよ。自分の体は好きだけど、自分の顔は嫌いだから(笑)。ただ、稼働としては本当に少なくしてるから。マネージャーとして、ちゃんと生活できるようにしていきたいなと思っています」

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 前編記事【アイス舐め、きわどいポーズが「私のプラスになるのだろうか」 ベテランが語る「職業グラビアアイドル」という生き方】では、グラドルを始めた経緯や、現在の“質の低下”について語っている。

徳重龍徳(とくしげ・たつのり)
ライター。グラビア評論家。ウェブメディアウォッチャー。大学卒業後、東京スポーツ新聞社に入社。記者として年間100日以上グラビアアイドルを取材。2016年にウェブメディアに移籍し、著名人のインタビューを担当した。その後、テレビ局のオウンドメディア編集長を経て、現在はフリーライターとして雑誌、ウェブで記事を執筆している。著書に日本初のグラビアガイドブック「一度は見たい! アイドル&グラビア名作写真集ガイド」(玄光社)。noteでマガジンを連載中 X:@tatsunoritoku

デイリー新潮編集部

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