首位阪神との差がどんどん開く…巨人の球団関係者は「大型補強に走るべきではなかった」 “優勝や日本一を逃せば即補強”が今季の低迷を招いたのか
どんぐりの背比べ
阿部慎之助監督が就任した昨年から台頭してきた選手は、井上温大、赤星優志、泉口友汰、増田陸らが挙げられる。井上は昨年と比べて大きく成績を落としている。また、秋広とのトレードで獲得したリチャードは、ここまで打率.095と全く結果を残すことができていない。
現状について、巨人の球団関係者は、以下のように話す。
「新監督が自分の色を出そうとして、新たな選手を引き上げることはよくあることです。阿部監督も就任前から二軍監督、一軍ヘッドコーチを歴任しており、自分が監督になったらこうしようという思いは持っていたはず。昨年はリーグ優勝こそしましたが、クライマックス・シリーズでDeNAに敗れたこともあって、チームを変えようという意識がより強くなったのではないでしょうか。ただ、ここまではそれがどちらかというと裏目に出ている。泉口や増田陸は頑張っていますが、なかなか腰を据えて起用されている選手はいません。良い言い方をすれば、チーム内の競争が激しいということになりますが、悪い言い方をすれば“どんぐりの背比べ”ですよね。岡本の不在でそれがより明らかになっているように思います」
巨人は7月7日時点で80試合を消化しているが、70試合以上に先発出場しているのは、セカンドの吉川とショートの泉口のみだ。多くの選手を起用しながら“使える選手”を見極めていると言えなくもないが、そこからチームの看板となるような選手はまだ見当たらない。それが現状である。
問われる手腕
そして、そのようなチーム状況になっているのは球団の構造的な問題点があるという。前出の球団関係者はこう話す。
「巨人は常に優勝争いをしなければならない。これは、常々言われることですが、それに縛られ過ぎていると思います。実績がある選手がいれば、とにかく獲得を調査する。昨年オフにマルティネス、甲斐拓也、田中将大らを獲得したのも、その典型例ですね。でも、チームを牽引してきたのは坂本勇人、岡本和真、菅野智之、戸郷翔征ら生え抜きの選手たちです。補強ももちろん必要ですけど、他球団から獲得して長く中心選手として活躍できる例はほとんどないですよね。また、育成選手を多く指名して抱えていても、他球団から実績のある選手が入ってきたら、育成から支配下に昇格できる選手はごくわずかです。一軍にもどうしても実績のある選手が優先して呼ばれる。それでは、若手選手のモチベーションが上がらないですよね。昨年もレギュラーシーズンでは優勝しているわけですから、そこまで大型補強するのではなく、既存戦力を引き上げる方に注力しても良かったのではないかなと思います」
実際、近年、巨人がFAで獲得した選手で期待通りの活躍を見せたのは、丸佳浩しかいない。それにもかかわらず、優勝や日本一を逃せば即補強に動くというやり方を続けてきた“ツケ”が現在のチームに表れている。
ライバルである阪神もかつては大型補強でチームを作っていたが、現在の主力は、生え抜きの選手が大半であり、スカウティングと育成が巨人よりも機能している。巨人は阪神との差をどうやって埋めていくのか。残りのシーズンで阿部監督とフロントの手腕が問われることになりそうだ。










