巨大テーマパーク「ジャングリア沖縄」の致命的な問題点… 「オープンとなれば住民の生活道路が激混みすることに」

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実際は「公的事業」

 敷地面積60ヘクタールという広さの「ジャングリア沖縄」の開業まで1カ月を切った。沖縄県北部の今帰仁村(なきじんそん)と名護市にまたがるゴルフ場跡地を切り開き、2年かけて開発が行われてきた巨大テーマパークだ。1月に東京で開かれた記者会見では石破茂首相が登場し、「大きな意味を持つ」と発言したほどだから、単なる遊園地ではない。

 ジャングリアの運営会社は民間企業だが、もともと沖縄北部の振興策に意欲的だった菅義偉元首相が、地元選出の代議士を動かしてスタートさせたといわれている。

「実際にテーマパーク構想を立ち上げたのは、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの再建を手がけた森岡毅氏で、彼がCEOを務める『刀』が運営会社の筆頭株主となり、他にオリオンビールやリウボウなど地元の有力企業が出資している。民間プロジェクトの形を取っていますが、実際には北部振興のための公的事業なのです」(沖縄在住のジャーナリスト)

片側1車線の道に長蛇の車列が

 で、どんなテーマパークかというと、ケーブルにつり下げられて熱帯林を見下ろしながら鳥のように飛ぶジップラインや、車で走っていると巨大恐竜が現れる「ダイナソーサファリ」、バルーンで上空に浮くアトラクションもある。チケットは大人(1DAY)が6930円だ。現地ではメディアへの一部公開が始まっており、期待は高まるばかりだが、早くから懸念も指摘されてきた。現地までの遠さだ。

「グーグルマップ」を使って那覇空港からジャングリアまで、車で行った場合の所要時間を測ると1時間18分と出る。だが、当然のことながら、そんなに短時間では無理。「沖縄自動車道」を使うとインターチェンジは常に混んでいるし、名護市内を抜けて、やんばるの山道に入らなくてはならない。ここまでがざっくり2時間コースだ。だが、最大の難所は、幹線道路(県道84号線)からジャングリア入口に通じる最後の右折交差点だ。地元紙「沖縄タイムス電子版」(4月4日)も早くからこの問題を指摘しており、オープンとなれば、片側1車線の道に長蛇の車列ができるという。

 日本遊園地学会の塩地優会長が言う。

「ジャングリアの開園時間(午前10時)に間に合わせようとして車が殺到することになれば、右折交差点の前で2~3キロの渋滞が発生するとみられます。ここは生活道路で住民も使っている道ですが、ジャングリア側は自治体(名護市、今帰仁村)に任せっきりで対策をしていません」

 やっと着いたと思ったらもうヘトヘト、なんてことになるかもしれない。

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