自軍エースも「熱中症」で緊急降板…西武の球団広報に“ベルーナドームが熱すぎる”問題について尋ねると 酷暑対策の“奥の手”とは

スポーツ 野球

  • ブックマーク

独特の暑さとは

 ベルーナドームで6月末に行われたデーゲームに足を運んでみた。最寄りの西武球場前駅の改札を出ると、目の前がすぐに球場入口だ。チケットを確認して中に入り、向かって左側、ライトスタンド後方から斜面を上がりながら奥へと進んでいくと、隣接する狭山湖から心地いい風が吹いてくる。

 な~んだ、イイ感じじゃないの……などと思いながら弁当とビールを買い、客席へのブロック入口から、階段を下りて座席に向かう。ドームの天井は白く、天気のいい日は明るく感じる。そして着席……ん? なるほど、これか! 足もとから込み上げてくる、モワッとした感じ……太陽が直接照り付ける暑さではなく、湿気をはらんだ、ジトーッとした暑さだ。

「内野に近い客席内にある売店スペースに、外気を取り込むための大型送風機が設置してあり、試合中はずっと回っています。これまで、風量調節のできるハンディファンや、扇子などが来場者に配布されていますが、やっぱり暑い……。客席でこうなのですから、グラウンドの選手は、もっと大変だろうと思います」(ライオンズファン)

 もちろん、球団も手をこまねいているわけではない。西武ライオンズ広報部によると、暑さ対策は課題と認識しており、その対策のために、(球場内の)温度や湿度、暑さ指数の計測は実施している。その上で、

「早期に対応可能な暑さ施策については順次、導入を進めており、7月8日より大規模なミスト設備の導入を予定しております」(同)

 ミスト設備とは、同日の楽天戦(ナイター)からで、内野指定席付近の10か所で、屋根や支柱の足もとから冷却用ミストが噴霧される。インプレー中をのぞき、試合終了まで不定期に稼働するが、5度ほどの温度低下が期待できるという。球場内の送風機や、選手たちへの熱中症対策についても聞いてみると、

「場内の送風機は4台設置しており、ドーム内の空気を循環させるために活用しています。選手への熱中症対策としては、既存の取り組みとして、ベンチ内に空調を設置、ベンチ後方にも冷風機を2台設置しています。また、ベンチにはシャーベット状のドリンクのほか、水分補給用のドリンクを多数用意しています。追加の取り組みとして、ベンチ裏に業務用冷凍庫を設置し、ネッククーラーや氷のうなど、選手の身体を直接冷やす部材を補強するなど対応を予定しています」(同)

暑さ対策にあの手この手

 暑さ対策はベルーナドームだけにとどまらない。西武は8月1日から12日間、北海道美唄市で若手中心の3軍の夏季キャンプを行う。避暑対策も兼ねており、12球団では初の試みとなり、25人前後の選手が参加するという。

「選手の練習時間を長く確保したい当球団の意向と、冷涼な気候の中でスポーツを契機に地域活性化などを図りたい美唄市の希望が一致し、同市で夏季キャンプを実施することとなりました」(同)

 今季の西武は昨シーズンの雪辱を果たすべく、西口文也監督(52)のもと、若手選手の台頭もあって健闘を続けている。交流戦明けとなる首位・日本ハムとの3連戦(6月27日~29日)では、28、29日が満員御礼となり、多くのファンがベルーナドームに足を運んだ。これからは夏休みシーズンということもあり、水を使ったスプラッシュステージを実施するほか、限定9試合で水を浴びながら観戦を楽しめるスプラッシュシートも販売している。

「氷のうをお持ちのお客様に無料で氷を配布する『氷のう専用氷チャージスポット』をベルーナドーム場内2ヵ所に設置するほか(*氷のうは球場内ストアでも販売)、首に巻いて冷やす『冷タオル』を、来場された皆さまに配布・販売いたします」(同)

 いよいよ暑さ本番。何よりアツい試合に期待したいが、熱中症対策だけは怠らないように注意したい。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。