自軍エースも「熱中症」で緊急降板…西武の球団広報に“ベルーナドームが熱すぎる”問題について尋ねると 酷暑対策の“奥の手”とは
エースが熱中症に
今年も猛暑の日本列島である。西日本から梅雨明けが始まり、関東地方も本格的な夏になる。この時期、プロ野球ファンの間で必ず話題になるのが、埼玉西武ライオンズの本拠地・ベルーナドームの「暑さ問題」だ。
【写真を見る】新たに導入される大規模なミスト設備など、ベルーナドームの暑さ対策あれこれ
「6月27日の日本ハム戦では、好投していた今井達也(27)が4回途中で緊急降板、熱中症と診断されました。今井はすぐに練習に復帰しましたが、昨年7月5日の千葉ロッテ戦でも、ロッテ投手の小島和哉(29)が7回に“心臓がギュッとなって、途中から投げるたびに息ができなかった”と、降板しています。また、同年4月14日のソフトバンク戦では高橋光成(28)も降板後に体調不良を訴えて病院へ。おそらく熱中症でしょうが、ベルーナの特に夏場の“暑さ”はハンパないと、再認識しました」(スポーツ紙記者)
今井が降板した翌28日、神宮球場ではヤクルト対阪神戦が行われた。フジテレビONEで試合が中継されたが、2回時点でカメラマン席が43.1度になったと紹介された(同日の東京都心の最高気温は33.8度)。いまや「30度超」「真夏日」というキーワードにはすっかり慣れっこになってしまったが、NPB各球団もファンや選手・スタッフの熱中症対策に余念がない。なかでも毎年、暑さの象徴として取り上げられるのがベルーナドームである。
ベルーナドーム(旧西武球場)の観客席は平地に積み重ねた造りではなく、すり鉢式の構造になっている。観客席からグラウンドは見やすいのだが、都心から約30キロも内陸に入り込んだ場所にあることから夏は暑く、オープン戦や日本シリーズのナイターなどは、冷え込むことで知られている。
「まだ屋根がつく前の西武球場時代のこと。当時、人気のあった高校生主体のクイズ番組がありました。その関東大会の会場が西武球場だったのですが、7月の暑い日に開催したところ、かなりの数の高校生が体調不良で倒れ、病院に搬送されたことがあります(注・1987年7月24日。参加人数は約4万9000人、救急搬送は16人)。グラウンドの気温は40度近くまで上がっていたといいます」(当時を知るファン)
1999年3月、既存の球場に屋根をつけるという、日本初の自然共生型ドーム球場として生まれ変わる。人工芝やフェンスも新しくなったが、外壁がないことから、ドーム球場でありながら、雨天時には雨が入ることも。
「空調がないため、寒さはまだなんとか我慢できるのですが、夏場は本当に暑い。すり鉢状の構造から、グラウンドにこもった熱が逃げにくく、まるでビニールハウスのような状態になります。対戦相手の選手や関係者、そして取材する記者にとっても、ベルーナドームの蒸し暑さと湿気は、夏場の大敵になっています」(前出・記者)
千葉ロッテの本拠地であるZOZOマリンスタジアムは、日中の気温が高くても適度に風が入り込むおかげで、湿気が気になることはほとんどないそうだ。また、空調設備の整った東京ドームは、コンピュータで室温と湿度が管理され、選手も観客も、快適な環境で試合を行うことができるという。
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