バイきんぐ・小峠の進化 「ツッコミ役」→「イジられ役」→「MC」 根底にある優しさ

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一般女性と結婚

 バイきんぐの小峠英二が一般女性との結婚を発表した。彼はこれまでにインタビュー取材などでも「結婚願望はない」とたびたび語っていたのだが、年齢を重ねるにつれて心境の変化もあったのだろう。SNSでは関係者やファンから祝福の声があがっている。

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 バイきんぐが世に知られるようになったのは、2012年にコント日本一を決める「キングオブコント」を制したときである。小峠は決勝当日の朝も生活費を稼ぐために害虫駆除のアルバイトをしていた。この優勝でバイきんぐは一躍有名になり、彼らの人生が変わった。

 バイきんぐのコントでは、西村瑞樹が放つつかみどころのない飄々としたボケに対して、小峠の力強いツッコミが炸裂する。性格もキャラクターも対象的な2人が真っ向からぶつかり合うのが見どころだった。

 コントの設定は比較的オーソドックスなものが多い。彼らのネタに特徴的なのはボケとツッコミの力加減だ。西村が演じる人物は、どこかとぼけていておかしいところがある。本人は普通と思ってやっていることが常識から外れていたりする。

 ツッコミ役の小峠は、話が進むにつれて少しずつそれに違和感を抱き、ツッコミの口調がだんだん強くなっていく。西村はいかにもという感じで露骨にボケたりはせず、あくまでも奇妙な人物を演じているだけ。小峠はそんな西村に驚き、戸惑いながら、その困惑を「ツッコミフレーズの絶叫」という形で表現する。コントの中で小峠が発する「なんて日だ!」という決めフレーズも有名になった。

 コントというのは一種の芝居なので、そこで演じるキャラクターと実際の人物像が離れているタイプの芸人もいる。しかし、小峠はそのズレが少なく、素の状態に近い演技を見せるタイプだった。そのため、コントで知られるようになった強いツッコミのキャラクターの要素を、そのままテレビに持ち込むことができた。これが彼の成功の要因だった。

「キングオブコント」で優勝した後、小峠は少しずつバラエティ番組に呼ばれる機会も増えていった。彼にとって特に大きかったのはドッキリにおけるリアクション芸人としての地位を確立したことだ。

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