「1日36時間生活」でE判定から「東大理二類」に合格…プロ注目の「ミスターサブマリン2世」が明かす「考えが180度変わった」父からの助言
試験の前日は不安で眠れなかった
「浪人するのは嫌だったので、強い気持ちと気合いで乗り切りました」
当時をそのように振り返る渡辺投手は、夏休みに突入した7月下旬から家に引きこもり、これまでに学んだ公式の確認をしつつ、予備校のオンライン講座を受講し、過去問の分析を繰り返しながら過ごした。そして「基本は完璧にマスターできている自信がつけられた」という2学期以降は、過去の入試問題や模擬試験の演習を続け、試験当日まで力を伸ばした。
「本番は不安やトラブルが起きる可能性もあり、おそらくベストコンディションでは臨めないだろうと思っていた」と話す渡辺投手は、予期せぬ事態を見越し、本番よりも短い時間で問題を解くように心がけた。その甲斐もあって「前日に緊張と不安でほとんど寝られなくて、栄養ドリンクを飲んでから試験会場に向かった」という共通テストでも高得点をマーク。早稲田大学政経学部の合格を手にするほどの出来栄えに、「本番を見据えた予行演習が役に立った」と胸を撫で下ろしたという。
苦手の文系科目は語呂合わせで攻略
渡辺投手が受験した東京大学理科二類は、共通テストで国語と社会を含む5教科7科目と、本試験の国語を含む4教科5科目の得点を合わせた550点満点で合否が決められる。
(※共通テストの900点は110点満点に換算される。なお記載は当時のもので、現在は受験科目数が異なります)
そのため理系学部といえども、限られた時間の中で文系科目の勉強に励み、試験で一定以上の得点が求められる。
「現代文は比較的得意でしたが、古文や漢文、暗記の多い倫理・政治経済はとりわけ苦手にしていて。名称や人名の語呂合わせを作って必死に覚えたり、夏休みに行われていた東京五輪の模様を伝える英語のニュースを聞いたりしてリスニング対策をしながら、準備を進めていきました」
共通テストでは、少ない時間で努力を積み重ねた甲斐もあって、「倫理・政治経済」で94点を獲得。「予想外の奇跡的な出来栄え」に歓喜し、本試験に向けて弾みをつけた。
父は周囲に僕の東大合格を自慢していました
やがて本試験を終えた渡辺投手は、運命の合格発表の日を迎えた。やや緊張しながらホームページにアクセスすると、手元にある受験票と同じ番号が……。歓喜の瞬間の訪れとともに、渡辺投手は胸を撫で下ろすような安心感と、目標を達成できた喜びを味わうことになった。
「僕の横で結果発表を見ていた母は、僕の受験番号を見つけると、すごく喜んでくれて。そわそわと落ち着かない様子で歩き回りながら、祖母に電話をかけて合格を伝えていました。発表の時間に家を留守にしていた父は、顔を合わせた時に『よかったね』と言ってくれて。僕に対しては比較的あっさりした対応でしたが、周囲の知人に僕の合格を言いふらし、いろいろな人に自慢していたことを後になって知りました(苦笑)」
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