「2万円という額は、後付けの方便」 現金給付案に専門家から批判の声 「政府の説明はインチキ」
「政府の説明は全部インチキ」
政治アナリストの伊藤惇夫氏も苦言を呈する。
「2万円は1年間の食費にかかる消費税分、などという説明は全部インチキ。バラマキを隠すための詭弁ですよ。税の上振れ分は国債の償還に回すか、子育て支援や社会保障全般などの政策に割り振るべきです。上振れ分を国民に還元します、というのは意味が分かりません」
先の政治部デスクによると、バラマキとの批判が巻き起こることは石破首相も気にかけているといい、
「それで一律4万円を配るのではなく、子ども・低所得者には4万円、それ以外には2万円という形で差をつけたのです」
「みこしに担がれているだけで何も準備してこなかった」
しかし、案の定と言うべきか、国民の見方は厳しかった。朝日新聞の世論調査では、給付金案を「評価する」とした人は28%にとどまり、「評価しない」が67%にも上ったという。
参院選で自民党と対峙する立憲民主党にとってはチャンスといえるが、
「ここに至っても野田さんが不信任案を出さなかったことで、自民党との大連立を裏で画策しているのではないか、と言われてしまうことになるでしょう。実際、大連立に関しては、財務省の新川浩嗣事務次官がそのようなことを周囲に吹聴している、という話もある」
と、立憲民主党関係者。
「衆参ダブル選になる可能性があるということは半年も前から分かっていたのに、野田さんはみこしに担がれているだけで何も準備してこなかった。その間に他の野党の党首と膝詰めで相談していなかったのだから、今になって話をまとめることなどできるはずもありません」
「裏金議員がどうこうとか、揚げ足ばかり取って……」
元自民党事務局長で選挙・政治アドバイザーの久米晃氏が慨嘆する。
「結局、与党も野党も大きい意味での展望を国民に示せていない。イランとイスラエルの紛争や、中国の領海侵犯に関して、与党から何か大きな展望が示されましたか? 立憲も同じです。裏金議員がどうこうとか、揚げ足ばかり取って、そんなこといつまで続けるのでしょう。そういう絶望感が国民にまん延しているからこそ、投票率もどんどん下がっているのではないですか」
側近不在で判断を誤り続ける首相と、勝負を決断できない野党第1党代表。われわれが見せつけられているのは、情けないリーダー二人による大茶番劇だ。
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