ソフトバンク、「柳田悠岐」「山川穂高」が軒並み不在でも…交流戦でセ・リーグ球団を圧倒できた理由とは
ロッテと巨人の対戦があと1試合残されているものの、今年のセ・パ交流戦はソフトバンクの6年ぶりとなる優勝が決定した。これでソフトバンクの交流戦優勝は9回目。2位は2回で4球団(ロッテ、巨人、オリックス、ヤクルト)が並んでおり、いかにソフトバンクが突出しているかがよく分かる。しかし、今年の交流戦が始まる前にソフトバンクが圧倒的に有利だと予想したファンは少なかったのではないだろうか。
【西尾典文/野球ライター】
先発投手陣の頑張り
その大きな理由の一つが主力選手の離脱だ。チームの顔である柳田悠岐は、開幕直後に右膝に自打球を受けて登録抹消され、いまだに実戦復帰を果たしていない。ショートの今宮健太も4月30日に死球を受けて離脱し、6月1日に復帰するも、15日には左わき腹を痛めて再び二軍調整となった。
さらに、主砲の山川穂高は、開幕から調子が上がらず、6月16日に調整のために登録を抹消された。腰の故障から5月27日に復帰した近藤健介も6月17日の広島戦で左足のかかとを負傷し、それ以降は試合出場を見合わせている。
投手では、昨年9勝をマークしたスチュワート・ジュニアが左わき腹を痛めており、開幕からリハビリ組での調整が続いている。これだけ主力が不在であれば、苦しい戦いを予想するのが妥当と言えるだろう。
では、なぜこのようなチーム状態にもかかわらず、交流戦で圧倒的な強さを見せることができたのだろうか。まず大きかったのが、先発投手陣の頑張りだ。
交流戦の18試合は、有原航平、前田純、大関友久、モイネロ、上沢直之、松本晴の6投手がこの順番で3度ずつ先発している。このように規則正しくローテーションを回すことができたチームは、ソフトバンクしかない。
そして、先発投手が5回を投げ切れずに降板したのは、6月11日の巨人戦と6月18日の広島戦の2試合だけ。それ以外の16試合は、しっかり試合を作って見せたのだ。これだけ先発投手が安定していれば、チーム成績が良くなることも納得できる。
また、この6人が力のある投手であるが、それぞれタイプが異なっている点も大きいのではないだろうか。有原は、チェンジアップ、カットボール、ツーシームといった小さく動く変化球を上手く使った左右のコーナーワークが持ち味だが、同じ右投手の上沢は逆にフォークとカーブの縦の変化で勝負することが多く、投球パターンは異なっている。
前田純と大関は、どちらかと言えば技巧派の左腕。前田純はチェンジアップが必殺のボールで、大関はフォークとスライダーが中心と武器になる変化球は異なっている。一方、モイネロと松本晴はストレートを中心とした本格派右腕だが、フォームやボールの軌道は少しタイプが異なる。
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