ソフトバンク、「柳田悠岐」「山川穂高」が軒並み不在でも…交流戦でセ・リーグ球団を圧倒できた理由とは

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主力が戻ってくれば

 ローテーションの中でもこれだけ投手のタイプにバリエーションがあると、相手打線が攻略するのは難しく、特に6球団と各3試合しか対戦しない交流戦で力を発揮したと言えそうだ。

 それに加えて、首脳陣の決断では、リリーフの配置転換が大きかった。クローザーのオスナが開幕から不安定な投球が続いており、6月6日のヤクルト戦でもリリーフに失敗した。

 すると、10日の巨人戦では3点リードの9回に杉山一樹を起用。杉山も首脳陣の期待に応えて、三者凡退で試合を締めた。

 その後も15日のDeNA戦では藤井皓哉、17日の広島戦では再び杉山が抑えとして起用されてセーブを記録。一方のオスナは18日の広島戦で2点ビハインドの場面で登板して2失点を喫し、翌日には調整のため登録抹消となった。

 推定年俸12億円以上という破格の条件で獲得した投手をクローザーから外す決断は勇気が必要だったと思われるが、仮に、この決断がなければ、いずれも接戦となった交流戦最後カード、阪神との3連戦で勝ち越すことは難しかったのではないだろうか。

 一方、野手では、中堅選手の活躍が目立った。筆頭格が、外野手の柳町達である。開幕当初は代打などの途中出場が多かったが、4月下旬から外野の一角に定着するとヒットを量産。交流戦に入っても、その勢いは衰えることを知らず、現在、パ・リーグでトップとなる打率.342をマークしている。

 内野手では、野村勇が怪我の今宮に代わってショートのレギュラーを獲得した。交流戦で3本のホームランを放ち、守備ではたびたび好プレーを見せている。

 怪我で一時戦列を離れていたリードオフマンの周東佑京も、交流戦前に復帰して持ち味のスピードを発揮した。他にも、嶺井博希や牧原大成らバックアップ要員と呼ばれる選手も存在感を示した。このような選手層の厚さはさすがと言えるだろう。

 リーグ戦では日本ハムとオリックスの後塵を拝しているが、交流戦でゲーム差を詰めて優勝争いに加わってきている。ここから主力が戻ってくれば一気に連覇も見えてくるはずだ。後半戦、「鷹の逆襲」に注目したい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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