「ブルートレインの復活」ではないが…“旅心”を刺激する東西のJRが始めた「夜行列車」の中身

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東西で対称的

 一度は風前の灯となったかに見えた「夜行列車の旅」というスタイルが、再びよみがえろうとしている。東西のJRが令和になって運行を始めた、乗って楽しめる夜行列車。かつて人気を呼んだ青一色の寝台列車「ブルートレイン」を先祖のようにしながら、その性格は対称的でもある。【大宮高史/ライター】

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 JR東日本が6月10日に発表した夜行特急列車は、2027年からの運行開始を計画。常磐線特急用のE657系を大幅改造した専用車両となり、10両編成で定員は約120人。全車両をグリーン車扱いの個室とする。

 外観は「メモリアルブルー」「ミッドナイトホライズン」と名付けられた2色の青を基調にまとめられ、ブルートレインを想起させるデザインとした。JR東日本の喜勢陽一社長によれば、運行ルートは山手線の駅を午後9時ごろに出発して、午前9時前後に青森に到着するものを想定している。

 JR東日本管内では、東北・北海道方面への夜行列車は、今は運行されていない。しかしかつては、上野と札幌を結んだ寝台特急「北斗星」や「カシオペア」、さらには上野~青森を羽越・奥羽線経由で結んだ「あけぼの」などが走っていた。

 特に1988年に青函トンネル開通とともに運行を開始した北斗星は、全車寝台で食堂車やロビーカーも連結され、飛行機や新幹線では得られない非日常感を売りに大きな支持を集めた。1999年登場のカシオペアは全車を個室A寝台として、さらにぜいたくな旅を演出した。

 しかしこれらも、北海道新幹線の整備延伸や車両の老朽化で北斗星は2015年に廃止。カシオペアはツアー専用列車となるも、老朽化で今年6月での引退が決まっている。首都圏からの夜行列車は西の高松・出雲市に向かう「サンライズ瀬戸・出雲」のみという状況が長く続いていたゆえ、北に向かう夜行列車を渇望していた鉄道ファンに今回の列車は朗報となった。種車のE657系は交直流電車で、JR東日本の全電化区間を走行できる。東京と東北の間だけでなく、甲信越を経由するルートも期待できそうだ。

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