伊豆大島女性死体遺棄・初公判 トラブル背景に「複数の女性との浮気動画」弁護側は「自殺」を主張するが真相は? 裁判長は「別のことを審理するのは許されない」と念押し

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 不倫関係でトラブルになった女性の死体を燃やし、骨を伊豆大島の海岸に遺棄したとして、死体損壊・遺棄の罪に問われている男の初公判が、6月19日、東京地方裁判所で開かれた。弁護側は「女性が自殺し、遺書に『火葬して海に散骨して欲しい』と書いてあったから希望通りにした」と主張。だが、死因が解明されたわけではなく、警察の捜査はまだ継続しているという。いったい2人の間で何があったのかーー。

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リゾートバイトをしていた女性と不倫関係に

 事件が発覚したのは、2024年10月23日午後4時頃。伊豆大島の「砂の浜(さのはら)」と呼ばれる海岸で清掃活動中の島民が、仙骨、大腿骨、脛骨など6つの人骨を発見した。その後、DNA鑑定で遺体は1年前まで島内の飲食店でリゾートバイトをしていたA子さん(当時37)と判明。今年1月、警視庁は死体損壊と死体遺棄容疑で、A子さんと交際関係にあった自営業・柳瀬宗達被告(46)を逮捕した。2人が不倫関係にあったことから、事件はセンセーショナルに報じられた。

 警視庁は当初、柳瀬被告がA子さんの死にも関与しているとみていたが、結局、他の罪で立件されることはなかった。だが、警視庁関係者によればまだ捜査は継続中だという。

 逮捕から5カ月経って始まった初公判。柳瀬被告は白髪が混じったスポーツ刈りの頭で法廷に姿を現した。今にもずり落ちそうなスウェットによれよれのTシャツというラフな出で立ち。起訴事実を読み上げられると「間違いありません」と認め、その後は被告人席でずっと俯いたままだった。

 冒頭陳述で検察側が明かしたのはまさに泥沼の不倫劇だった。

別の愛人B子を含む複数の女性との不倫場面を写した動画

 2人が知り合ったのは2020年、大島島内のナイトラウンジ。柳瀬被告の妻子は別居中で島内には住んでおらず、程なくして、A子さんは柳瀬被告の自宅で同居するようになった。

「被告人は、当時、妻子が別居していることや、他にも愛人関係にあるB子という女性がいることを伝えながらA子との不倫関係を継続したが、23年9月頃、被告人がB子を含む複数の女性との不倫場面を撮影していた動画や画像をA子が密かに入手・閲覧してからは、口論になるなどのトラブルが生じた」(検察側の冒頭陳述より)

 その後、A子さんが「自殺する」と暴れる騒ぎが起き、警察が介入。A子さんは実家のある北海道に帰ったが、2人のトラブルは続いた。

「被告人とA子は、同年11月頃、A子が動画等を削除し、被告人がA子に毎月4万円を12回支払いすることで関係を解消する旨の合意書を取り交わしたが、その後もA子はB子との件で謝罪を要求し、別居中の妻の自宅に押しかける、などのメッセージを頻繁に送ってきた。24年5月頃、A子の求めで2人は再会し、復縁した」(同)

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