オリックス・広岡大志の「警告事件」で思い起こされる物議を醸した“守備妨害” 三塁コーチやファンが妨害判定を受けた“珍事”も

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ボールを取ろうとしたファンがグラウンドに落下し「守備妨害」に

 観客による守備妨害が適用されたのが、2016年6月14日の巨人対楽天である。

 2対1とリードした楽天は7回無死一塁、ドラフト1位ルーキー・オコエ瑠偉が右翼フェンス際に大飛球を放った。

 ライト・長野久義が落下点に入り、「ファウルか? フェアか?」と誰もが固唾をのんだ次の瞬間、なんと、エキサイトシート最前列のファンが身を乗り出して、ボールを横取りしてしまった。さらに勢い余ってフィールド内に「ドスーン!」と転げ落ちたので、場内は騒然となった。

 東京ドームでは、より迫力あるプレーを楽しんでもらおうと、05年から防球ネットのないエキサイトシートを設置しているが、グラウンドでプレーする選手と観客との間に境界がなくなったことが、こんなハプニングを引き起こそうとは、なんとも皮肉である。

 長野のアピールを受けて、審判団が協議した結果、観客の妨害がなければ、捕球できていたと判断され、オコエは認定アウトになった(記録は右邪飛)。

 笠原昌春一塁塁審は「(観客が)触らなければ、(長野は)捕れていました」と説明しつつも、思わぬハプニングに「初めて見ました。ビックリしました」と目を白黒させた。

「ルールは知っていたので、審判にアピールしました」という長野も「(ファンは)ヤジられていたし、可哀想だなと。“すみません”と言われました」とコメントした。

 一方、観客にフライを捕球されてアウトになったオコエは「何と言うか……。(グラウンドに落ちたファンは)受け身が上手でしたね。ランナーがいてチャンスがあると思った場面。捕っていなかったら、どうなっていたかというのは、少し残念でした」と認定アウトに複雑な表情だった。

久保田龍雄(くぼた・たつお)
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新著作は『死闘!激突!東都大学野球』(ビジネス社)。

デイリー新潮編集部

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