オリックス・広岡大志の「警告事件」で思い起こされる物議を醸した“守備妨害” 三塁コーチやファンが妨害判定を受けた“珍事”も

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突然「アウト」の宣告を受け呆然とする三塁コーチ

 三塁コーチが守備妨害を取られる珍場面が見られたのが、2015年5月8日のロッテ対西武である。

 6対3とリードした西武は、6回にも炭谷銀仁朗の左前安打と秋山翔吾の中越え二塁打で、1死二、三塁のチャンスをつくる。

 だが、次打者・栗山巧は三塁ファウルゾーンに高々と飛球を打ち上げてしまう。捕手の吉田裕太とサード・今江敏晃が打球を追ったが、ボールを見上げながら走っていた今江は、前方の奈良原浩三塁コーチに気づくのが遅れ、避けきれずに交錯してしまう。そのはずみで、左手にはめていたグラブがすっぽ抜け、スタンド方向に大きく飛んでいった。

 直後、素手のまま走っていることに遅ればせながら気づいた今江は「あれ、グラブはどこ?」と言いたげに呆然と立ちすくみ、後ろを振り返った。

 結果は捕球失敗ながら、敷田直人三塁塁審は、奈良原コーチが“邪魔”しなければ捕球できていたという判断から、守備妨害を適用し、ルール上、栗山がアウトになった。

 今江と交錯した際の衝撃でグラウンドに転倒していた奈良原コーチは、突然「アウト」の宣告を受け、呆然と敷田塁審を見上げるばかりだった。

 西武はその後、浅村栄斗の死球で2死満塁とチャンスを広げたが、4番・中村剛也が右飛に倒れ、無得点。試合は9対3と大勝したものの、奈良原コーチは「あれは避けられない。逃げる方向に(今江が)来たから。でも、私のミスです」と面目なさそうだった。

 奈良原コーチといえば、中日選手時代の06年9月19日の横浜戦で、右翼席に本塁打性の飛球を放ちながら、観客が手を伸ばしてキャッチしたことから、「妨害行為」として二塁打に“格下げ”されたエピソードでも知られる。

 結果的に移籍第1号と現役最後の本塁打が幻と消えてしまったわけだが、現役引退後も、間の悪いハプニングに泣く羽目になるとは、まさに「因果はめぐる」である。

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