関西大、“聴講料免除”でハーバード大留学生受け入れ表明も… 「現時点では具体的な問い合わせはありません」

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渡航費用に学生寮費まで支援

 アメリカの超名門大学にトランプ旋風が吹き荒れている。トランプ大統領が、ハーバード大学の留学生のビザ取消し、および留学が決まっている学生や研究者の入国制限の検討を命じる文書に署名したからだ。対象となるのは1万人前後に上る。

 ハーバード大学の留学生・研究者にとっては不運としか言いようがないが、そこは超名門大学。世界中から救いの手が差し伸べられている。

 日本でも東大や京大、阪大などが受入れを表明したのはご存じの通り。6月6日には阿部俊子文科相が、約90の大学が支援を検討していることを明らかにしたが、私立大学では、いち早く関西大学が5月30日に受入れを発表した。

 その内容(6月10日時点)は実に手厚いもので、

・日本への渡航に必要な費用・手続きの支援

・聴講料の免除

・学生寮の手配と寮費の支援

 同大学はロシアによるウクライナ侵攻の際、ウクライナの学生や研究者を受け入れた経験を踏まえて、今回の支援を表明したとしている。その上で、

「多くの留学生を受け入れることで多文化共生の実践的な経験が得られ、多様な価値観が集うことで、柔軟な思考が育まれ、広く国際的な視野を持った人材育成につながるものと考えています」(関西大学総合企画室広報課)

 と意欲満々。が、実際にハーバード大学から来てくれるかどうかは微妙だ。

受け入れは未定

 大学ジャーナリストの石渡嶺司氏が言う。

「今回、トランプ大統領の取った措置を、世界中の大学は千載一遇のチャンスだと見ています。なにしろハーバード大学は世界大学ランキングで14年連続1位。世界でもトップクラスの学生に来てもらえるとしたら、研究力アップにつながるのは間違いない。実際、留学生のビザ取消しが発表されると、ノルウェーやベルギー、さらに中国、香港やシンガポールなどの有名大学が続々と受入れを表明しています」

 関西大学も国内では難関校として知られているが、先述のとは別の世界大学ランキングでは1500位未満。ハーバード大学の留学生・研究者の「お眼鏡」にかなうのは簡単ではないだろう。

 そこで、受入れが決まったか、また問い合わせがあるかどうかを関西大学に聞いてみると、

「現時点では具体的な問い合わせはありません」(前出の広報課)

 さすがのトランプ旋風も、まだ大阪の郊外までは届いていないようだ。

週刊新潮 2025年6月19日号掲載

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