「なぜスマホを取り上げるんだ」と怒鳴り込む若手自衛官の親も……パワハラを恐れコミュニケーション不全に陥る「令和の自衛隊」驚きの実態
若手隊員の親が怒鳴り込んできた
別の隊員(50代)も「昔と今で、若手の感性が全く違う」と指導の難しさを嘆く。
「上司が私の部隊を訪れた際、その場にいた若手に“お茶を出してほしい”とお願いしたら“戦いにきたのであって、お茶出しのために入隊したのではありません”と、言うことをきいてくれなかった。厳しい演習が嫌になった隊員が脱走し、週刊誌で不満をぶちまけたなんてこともありました」
さらに隊員だけでなく、その親も昔とは違う。
「ドローン爆撃を想定した訓練では、スマホの電源を切るように指導します。スマホから出る電波を目指して、爆弾を搭載したドローンが突っ込んでくるからです。その訓練の際、ある若手隊員の親が“なぜウチの息子からスマホを取り上げるんだ”と怒鳴り込んできたのには、さすがに参りました」(同)
個人の価値観や自由を重んじる“令和流”の若者に、一般企業よろしく自衛隊も四苦八苦しているというのだ。
この隊員は、自衛隊のパワハラ対策は部隊を弱くするとも指摘する。
「年1回、自衛隊のコンプライアンスチェックなどを担う防衛監察本部から“指揮官からの指示はきちんと伝達されているか”といった質問が並んだアンケートが配られます。これ自体は昔からあるのですが、最近では若手が意見の合わない上司を告発するためのツールのようになってしまっています」
調査が入り多少でも暴言などの事実が認められれば、処分に繋がってしまう。ゆえに、
「上官は若手に対し、信頼感を抱けなくなっています。告発されるリスクを考えれば踏み込んだ指導は割に合わず、深い関係を築くことも避けがちになります。そんなコミュニケーションしかとれない部隊が、どうして実戦で活躍できるでしょうか」(同)
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有料版「『何がハラスメントになるか分からない……』現役自衛官が苦悩を激白 『令和流指導』で弱体化する『自衛隊』の研究」では、パワハラを恐れ「指導」に踏み切れない自衛隊の実状をレポートしている。







