今季はこれまで4件が成立! プロ野球トレードの“裏側”から探る次に動く「球団名」とは

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支配下の人数の枠を空ける目的も

 また、過去にも巨人とソフトバンクは、2023年オフにウォーカーと高橋礼、泉圭輔の交換トレードを成立させている。昨年のオフにもフリー・エージェントとなった甲斐拓也を巨人が獲得し、その人的補償で伊藤優輔がソフトバンクに移籍している。このような繋がりも、今回のトレードが成立した背景と言えそうだ。

 さらに、直近では3件の金銭トレードが成立しているが、選手を放出した側の球団にも狙いがある。それは支配下の人数の枠を空けることで、新たな選手の獲得や育成選手の昇格が可能になることだ。

 実際、中日は岩嵜をオリックスに放出して間もなく佐藤を獲得した。一方、西武は3月以降、黒木優太、仲田慶介、モンテル、佐々木健を育成から支配下に昇格させているが、他の育成選手では、投手は上間永遠、野手は仲三河優太、佐藤太陽らが結果を残しており、右上腕動脈閉塞症からの再起を目指す森脇亮介も控えている。7月末までにこの中から支配下登録される可能性が高いだろう。

 以上のような話を踏まえて、改めて近年のトレードを見てみると、確かに多く成立している球団とそうではない球団があることが分かる。

日本ハムの動きに注目?

 2022年オフ以降で最も多くトレードを成立させている球団は日本ハムだ。その相手も、阪神をはじめ、西武やロッテ、中日、オリックス、巨人と6球団に及ぶ。

 日本ハムは以前からフロント主導で多くトレードを行ってきたが、それに加えて新庄剛志監督が就任してチームを大きく作り変えようとした結果と言えるだろう。さらに付け加えると、これだけ多くの球団とトレードを成立できるだけの繋がりがある証明でもある。

 今シーズンも新庄監督からトレードを希望するような発言が飛び出しており、チームも首位と好調で余剰戦力となっている選手もいる。ここから動きが出る可能性も高いのではないだろうか。

 トレード終了期間まであと1ヵ月半。日本ハムはまた新たな動きを見せるのか。他球団がどのように動くのか。その動向に引き続き注目したい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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