「安住アナ」も「イット!」も騙された! 中国発の「衝撃映像」が“AIフェイク”で業界に緊張

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コスパと数字がいい

「衝撃映像を連発する構成は視聴者が離れにくく平均点以上の視聴率が期待できるので、似たような番組が増えています」

 衝撃映像の番組が増える理由は他にもある。

「使用する映像の提供者、入手先、映像内容にもよりますが、映像使用にかかる費用が安いこともブームの理由でしょう。海外の映像を専門に扱う会社もありますからね。ちなみに、テレビ局の報道部門はロイターやAPなど海外の報道機関と契約し、定期的に映像素材を入手しています。情報番組系はそうした契約をしていないので、報道局から素材をもらうことになります。衝撃映像の番組はそうした素材をつなぐだけなので、VTR編集の手間が少ないことも増加の理由に挙げられます」

 本当に素材をチェックできているのだろうか。

「もちろん、素材そのものを見て不自然だったり、客観的状況と異なるかどうかといったチェックは必要ですし、SNSに載っている素材そのものを流すことはほとんどありません。投稿した当事者に連絡を取ったり、当日の気象などが間違いないか取材をして、それをクリアしたもののみを放送しています。ただし、素材が海外の場合、動画を作成した当事者やその周囲に確認取材をすることは困難です。基本的には配信先の報道機関を信じて映像を流すことになります」

一度は疑うべきだった

 今回、問題となった中国人パラグライダーの映像は、もともとはSNSで拡散された動画のようだ。

「それを中国の国営テレビ局CCTV(中国中央電視台)が取り上げたため、世界中のメディアも放送したという流れです」

 CCTVは中国共産党の支配下にあるプロパガンダ機関ともいわれている。今やAI先進国の仲間入りをした中国の“アドバルーン”であった可能性も考えられなくはない。

「中国の映像素材であれば、一度は疑ってみるべきだったかもしれません。かつてのUFO映像やUMA映像のような真偽不明の番組が楽しまれているうちはよかったのですが、今後はさらにAI生成のフェイク映像が増えていくでしょう。フェイクとして見せる演出も可能だと思いますが、それが『イット!』や『THE TIME,』のように訂正や謝罪に繋がることが増えれば、衝撃映像番組はやりにくくなります」

 ちなみに、CCTVが中国人パラグライダーのニュースを放送した日付について、「イット!」は5月28日、「THE TIME,」は5月24日と報じた。どちらが正しいのか。安住アナ、追加情報を求む。

デイリー新潮編集部

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