ホラー映画の撮影現場でヒルが足を登ってきた…スタッフが血まみれになった舞台裏

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素の人柄は想像力豊か

 前作にもなじみのホラーキャラも登場して、それらを倒さないと先に進めない。

「石でおじさんを倒したり、格好いい技を決められたりするのは楽しいですね。でもアクションをやりすぎて、普段も『変な人に襲われたら手首をひねってこうしてやろう』とか、妄想をふくらませがちです(笑)。望結ちゃんもアクションを頑張っていて、二人とも前作より躍動感があります」

 恒松はマンガ「ガラスの仮面」が好きで芝居に興味を持ち、「『のだめカンタービレ』の上野樹里さんも好きで、よく真似していました」という少女だった。子役で芸能界入りして演技を続けてきた。

「はじめは子どもだったこともあって、ただ『楽しいからレッスンに行く』という感覚でした。ところが15歳の時にオーディションで勝ち取った映画『くちびるに歌を』(2015年公開)がきっかけで、いろんな人に知っていただけるようになりましたし、オファーをいただくことが増えました。

 オーディションで選ばれるって、実力だけでなくてその役との縁もあるのかなと思っていて。何かしら私の中に役との共通点があるのかなと、より大切にお芝居をしていくきっかけになりました。『きさらぎ駅』の春奈も動じなそうな性格が似ているのかなと思いますが、自分を守るために仲間を裏切ってしまう弱さも、戦う強さに変える部分も持っていて人間くさい子です。たくさん共感してもらえるのかなと思います」

「全裸監督」シーズン2(2021年)でのニューヒロイン乃木真梨子役でも妖艶さを見せ、今年はディズニープラスで配信の「ガンニバル」シーズン2での後藤銀役の凄味ある演技が話題になった。強い役や妖艶な役に何かと縁がある。

「強い役ばかりいただくのって、顔がキリっとしているからでしょうか(笑)。でも何もかもが強い人って、世の中にほとんどいないと思います。銀のような強い人にも絶対に弱いところがあるので、それを想像したり、『どう見せようか?』とお芝居を練ったりするのが楽しいです」

 小学生の頃から芸能界にいるが「辛かったという記憶はあまりないですね」と芝居を楽しんできた。そして自分の中の創造性を発揮できるようにもなった。

「昔は大人の顔を窺ってしまうというか、気を遣いすぎてしまうクセがありました。それを18歳くらいの時にお芝居のトレーニングをして克服しました。最初に自分の本音を言えるようにしたら、考えをちゃんと持てるようになったと思います。今回も春奈と明日香が車に乗って逃げようとするシーンがあったんです。

 何度も同じシチュエーションが繰り返されるので、明日香の運転が上手くなっていくから、(明日香の下手な運転に)車酔いしていた春奈が最後の方には寝てしまうってどうでしょう? と永江監督に相談したら採用してくださいました。お芝居は楽しいという気持ちは変わっていませんが、今は『どうやって皆と楽しみながら作品を作れるか』っていう考え方にシフトしています」

 実は「まだ本格的に主役で現場を引っ張った経験は少なくて」と明かし、主役を勝ち取ることにも意欲を見せる。まだ26歳で、素の人柄は想像力豊か。凛とした真顔も、笑った時の屈託のない笑顔もチャーミングで、いろんな役柄で見たくなる存在だ。

恒松祐里
1998年、東京都出身。2005年にドラマ「瑠璃の島」で子役デビュー。主な出演作にドラマ「おかえりモネ」「全裸監督」シーズン2、「今際の国のアリス」シーズン2」、映画「くちびるに歌を」、「Gメン」、「裏社員。-スパイやらせてもろてます-」、舞台「ドン・ジュアン」「ハザカイキ」など。2025年は「きさらぎ駅 Re:」のほか、6月から放送のドラマ「ひとりでしにたい」(NHK)や、秋公開の映画「消滅世界」にも出演予定。

デイリー新潮編集部

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