メディアにも登場 “入管批判”の「クルド人男性」が覚せい剤所持で逮捕されていた これで逮捕は4度目、それでも難民申請を繰り返して国内に残留

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国連にも通告

 上記の訴訟以外にも、彼は国を提訴している。

 判明しているだけでも、「入管施設への長期収容は、国際人権規約違反だ」として国を相手取って損害賠償請求を行い、また、難民不認定の処分取り消し、さらには、在留特別許可が認められないことの取り消しを求めて、やはり国を提訴している。

 上記の司法手続き以外でも、自らへの入管の対応を国連の「恣意的拘禁作業部会」に通報。それを受けて同部会は「長期収容は国際人権法違反に当たる」との意見を採択し、日本政府に送達している。

 もっとも、難民認定や在留許可を巡る裁判では、

「敗訴しています。その中では、彼が来日後、7カ月間も経ってから難民申請を行おうとしたこと、また、“反体制派のイスラム教徒だ”と言う一方で、キリスト教に改宗したとも述べていることなど、主張に矛盾があることが指摘されています」

 一部のマスコミは彼を重用してきた。

 東京新聞は「日本の入管行政『人権軽視の極み』」と題した記事で彼のインタビューを掲載するなど、何度もデニズ被告に関する記事を掲載。朝日新聞や毎日新聞も彼の主張に沿う記事を掲載している。NHKも2022年12月、入管問題を扱った「クローズアップ現代」で彼をインタビューしている。

 今回の逮捕・起訴を受けて、前出の法務省関係者は言う。

「有罪が確定したとしたら、送還など厳しい措置が取られることになるはずです。しかし、彼を支援してきた弁護士やメディア、国会議員などの激しい抵抗が予想され、出国までには時間がかかるかもしれません」

 その間、もし彼が再犯したとすれば、一体、その責任は誰が取るのだろうか。

デイリー新潮編集部

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