地方に住む女性が“離婚しても楽しそう”に見える納得の理由 東京よりも格段に離婚率が高くても“幸せ”なのはなぜか

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コミュ力は女性の方が……

 このような「離婚で成功した先輩」を見ているから、離婚自体が悪いものだと思わない空気感が醸成され、本人も後悔しないことが多い。そして、色々なケースを見ていて感じるのが、離婚後、女性の方がその後の人生を謳歌している点だ。元々男性は定年退職後、地域コミュニティに入れず孤立する、というものがある。かつては「濡れ落ち葉」という言われ方をした。これは、趣味も仕事もなく妻にへばりつき頼る様を指す。妻は「はいはい、ご飯作っておいたから勝手に食べといて。私はお茶会に行ってきますんで」なんて軽くいなし夫はスネてしまう。

 よく言われることではあるが、やはり年を重ねた後にコミュニケーションと仲間づくりが上手なのは女性である。地元のスーパーに入っているフードコート的なスペースがあるが、そこで昼間焼きそばやタコ焼き、ソフトクリームを食べながら談笑しているのは大抵高齢の女性である。なぜか野菜と果物を売っている洋服屋があるのだが、ここの店番の女性の下には、常に女性がやってきて茶飲み話をしている。

 一方、男性は昼間はカラオケスナックをハシゴし、夕方にはスーパーで弁当やインスタントラーメンを買い家で食べることが多いように見える。仲間同士でつるむということはあまりない。コミュニティを作るというのは女性の方が長けているのは間違いないだろう。

ポジティブな面もある

 さて、離婚の話に戻るが、若くして離婚することの女性側のメリットの一つに、「自身の母親が健在」という点もある。若くして子どもを産む女性の母親も同様に彼女を若い時に産んでおり、39歳の娘に対して母親が60歳なんてこともある。もっと言うと、祖母が存命で82歳だったりするのだ。あと数年して娘の娘が子どもを産んだ場合、なんと5世代が同じ時に生きているということになる。

 母親とは同居しており、一緒に温泉に行ったり、海外へ行ったりもする。これは息子だったらなかなかできないが、母娘であれば自然とこのような関係性になる。母も熟年離婚していると共感度はさらに上がる。すると「あぁ~、お母さんとまた住めて私は嬉しいよ。あのしょうもないお父さんとはたまには会ってるの?」「あの男はつまらん」なんて一見際どそうな会話も楽しげに交わすことができる。

 離婚後のこうした幸せな「先輩」を見ているからこそ、離婚率の高いエリアというものが存在するのではないだろうか。こうした人々と接していると、離婚をネガティブな面だけで捉えなくてもいいと考えてしまう。そして、早婚の方が離婚後の選択肢が増えるもの。「ままごと婚」などと揶揄する面もあるが、早婚の良い点を見つけることが出生数にも好影響をもたらすのでは。当然、国が高齢者に使っていたカネを子育て支援に振り分けることは必須だが。まぁ、政治家としては大票田を失いたくないからやらないか……。

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
1973(昭和48)年東京都生まれ、佐賀県唐津市在住のネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。雑誌のライター、「TVブロス」編集者等を経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』『よくも言ってくれたよな』。最新刊は『過剰反応な人たち』(新潮新書)。

デイリー新潮編集部

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