「ご結婚に反対する宮中の人たちがいて…」 ご成婚32年 「雅子皇后」を襲った中傷・陰口 それを流した“犯人”とは

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出向組が多い

“開かれた皇室”を標榜し、宮中や宮内庁は変わったという人もいるけれど、ベテランの皇室記者は、

「宮内庁はいまだに非常識が罷り通る役所ですよ。例えば、紀子さまが(ご結婚の際の記念撮影の合間に)秋篠宮さまの髪を直した写真を、宮内庁はマスコミに出すなと言いました。常識的には考えられないことですよね。昭和天皇が亡くなられた時も、発表したのは死後一時間もたった後です」

 それは、別に保守的、伝統的な考え方をする役人が多いためではなく、

「生え抜きが少なく、出向組が多いからなのです。出向組は本省に戻るためには、ミスさえしなければいいという状況に置かれています。となると伝統に沿うようにやればいい、前例通りやればいいという思考に洗脳されてしまうのです」

 雅子妃殿下の誕生で、宮内庁が侍(はべ)る皇室は変わるだろうか。

宮内庁との間で板挟み

「雅子さんは知的で、自由な発想をお持ちになっている方です。そうした方が伝統を守る宮中に入ってどうなるか。これまでの伝統を継承していこうとする宮内庁と、正面から衝突してしまうのではないでしょうか」

 と、心配するのは、元宮内庁式部官の武田龍夫氏(北海道東海大学教授)で、

「その結果として、雅子さんは精神的にも苦しい立場に追い込まれてしまうかもしれません。一方で、皇太子殿下ご自身も、宮内庁と雅子さんの間で板挟みになってしまうかもしれません」

皇室は変わっていた

 一方、ノンフィクション作家の加藤仁氏は、悲観的には捉えていない。

「世間では雅子さんのことをキャリアウーマンという視点で捉えていますが、私は単に働いてきた女性というだけではなく、官僚経験者であることが重要だという気がしているんです。だいたいにおいて官僚というのは、相手を立てはしますが、最後には自分の思い通りにしてしまう。雅子さんも官僚経験者であるという経験を生かして、立てるべきところは立て、引くべきところは引き、周りの人たちを味方にしていくのではないでしょうか。宮中の様々な儀式にしても、それを頭から拒否してしまっては揉めるのは確実だから、彼女は当然のように受け入れるでしょう。そして、時間がたって周りが気がついた時に、皇室は変わっていたということになっているのではないでしょうか。そんな気がします」

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 この記事から32年。その後、雅子さまが「適応障害」を発症し、現在に至るまで療養生活を送られていること、そして発症に伴い、天皇陛下(当時、皇太子殿下)がいわゆる「人格否定発言」により、宮中や宮内庁のあり方に一石を投じられたことを鑑みると、文中の武田氏の“心配”は現実のものとなったことがわかる。

 一方の加藤氏の指摘が当たっているかどうかは、今後に委ねられるだろう。宮内庁の旧弊は改まるのか。雅子皇后のご存在は皇室の変革に繋がるのか。今後の注目である。

【前編】では、婚約時に雅子皇后に流れた中傷・陰口について詳報している。

デイリー新潮編集部

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