東野幸治が見取り図に語った「芸人の天下取り」論とは 「アメトーーク!」に出るな
「この企画はやるな」
かつてのお笑いの世界では、時代ごとにテレビバラエティの王者として君臨する「天下人」が存在していた。70年代後半から80年代前半には萩本欽一が、80年代中盤から後半にはビートたけしが、90年代にはダウンタウンが天下を取っていると言える状態にあり、その時代の覇権を握っていた。
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【写真】「笑いの英才教育」が行われていたダウンタウンファミリー
また、同時期に活躍した明石家さんま、とんねるず、ウッチャンナンチャンなども、それぞれが「天下人」と呼んでも過言ではないほどの権勢を誇っていた。
だが、最近ではそんな「芸人の天下取り」というのがあまり話題にならなくなった。テレビに出る芸人の数が増えて、人々の価値観も多様化したことで、間違いなく天下を取っていると言えるほど突き抜けたポジションにいる芸人が存在しなくなっている。
そんな中で、5月25日深夜放送の「見取り図じゃん」(テレビ朝日系)では、東野幸治が後輩の見取り図に対して独自の「天下取り」論を語っていたことが話題になっていた。
東野はもともと見取り図の才能を高く評価しており、千鳥、かまいたちに続く逸材として期待をかけていたのだという。でも、東京進出後に思ったよりも飛躍できていない状況を見ていて、このままではいけないと思い、発破をかけるために話をすることにした。
この番組の中で、東野は天下取りを目指すための3箇条を語っていた。そのうちの1つは「尻軽になるな」。自分たちへの仕事のオファーを何でもかんでも引き受けているようなやり方では、大物になることはできないのだという。
人気番組の「アメトーーク!」にすら出なくていい、と東野は語る。あの番組では複数の芸人がひな壇で横並びになるため、大勢のうちの1人というポジションになって埋もれてしまう。それでは天下人にはなれないというのだ。この話には説得力があった。
お笑い界で天下取りということがあまり言われなくなった最大の理由は、「天下」と呼べるようなものが存在しなくなったからだ。かつてはゴールデンタイムで自分たちのコント番組をやるというのが成功の証とされていた。80~90年代の天下人と言われる芸人は、ほぼ例外なくこの道をたどってきた。
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