今年40歳以上になる10人の現役ベテラン選手 現役続行か今季限りか…ヤクルト“最高齢投手”は「新監督」が“不安要素”に?

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このままでは現役続行が危ぶまれる選手も

 ここまでは結果を残している選手を挙げたが、残りの6選手は、かなり厳しい状況に追い込まれている。41歳の平野佳寿(オリックス)は開幕一軍入りを果たし、4月3日のロッテ戦では今シーズン初セーブをマークするも、9日のソフトバンク戦ではワンアウトしかとれず4失点を喫して炎上した。

 11日には登録抹消され、リリーフ陣が苦しいチーム事情にもかかわらず、いまだに一軍昇格を果たせていない。オリックスは6月1日に中日から岩嵜翔を金銭トレードで獲得しており、ますます平野の立場は苦しくなっている。

 中村と同学年で同期入団、41歳の栗山巧(西武)も4月23日のロッテ戦では4番でスタメン出場し1安打を放ったが、その後、調子が上がらず23打数2安打、打率.087と寂しい数字だ。

 一昨年2000本安打を達成した、39歳の大島洋平(中日)も開幕からなかなかヒットが出ずに4月11日には登録を抹消された。5月6日に一軍に復帰したが、ここまでわずか4安打、打率.182と結果が出ていない。

 40歳の長野久義(巨人)は、開幕から代打で2打席連続ヒットとスタートこそ良かったものの、その後は1本もヒットが出ず、打率を.105まで落とし、5月7日に二軍落ちとなった。また、39歳の荻野貴司(ロッテ)と松山竜平(広島)は一軍出場を果たせずに、二軍暮らしが続いている。

「プレーや数字に見えない部分の評価も」

 こうして見ると、戦力となっている選手は少ない印象は否めないが、それでも彼らの存在は決して小さくはないという。前出の編成担当者はこう話す。

「今年40歳以上で現役を続けている選手は、これまでにも引退の危機があった人ばかりです。それでも、チームに残っているのは、成績以外の分野での評価もあることは間違いありません。野球に対する取り組みが甘く、周りにも良い影響を与えないと判断される選手は、そもそもここまで現役を続けることはできませんから。査定についても、現役を長く続ける選手は、他の選手とは違うケースが多いです。プレーや数字に見えない部分の評価は確実にあると思いますね」
 
 これから夏場を迎えると体力的に厳しく、調子を落としてくる選手も多い。そうなると彼らの経験が生きてくる場面も増えてくるはずだ。また、ベテランが必死にプレーする姿がチームやファンに与える好影響も大きい。残りのシーズン、彼らが熟練の技を見せて、1人でも多くの選手が来季も生き残ることを期待したい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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