「あんぱん」ヒロインへの“苦手意識”は変わるのか 考え抜かれた脚本、のぶが見せた“変心”
豪華出演陣の理由
第50回からは妻夫木聡が登場した。嵩の上官・八木信之介役である。これにより、過去にドラマに主演した経験のある出演者は20人となった。超豪華版の出演陣だ。
主演経験者の名前を挙げてみたい。今田美桜(28)、北村匠海(27)、のぶの母親・朝田羽多子役の江口のりこ(45)、河合優実(24)、細田佳央太(23)、のぶの末妹・メイコ役の原菜乃華(21)、同亡父・結太郎役の加瀬亮(50)、同祖父・釜次役の吉田鋼太郎(66)、同祖母・くら役の浅田美代子(69)。
松嶋菜々子(51)、二宮和也(41)、竹野内豊(54)、戸田菜穂(51)。のぶの夫・若松次郎役の中島歩(36)、蘭子にプロポーズした田川岩男役の濱尾ノリタカ(25)、のぶの幼なじみで女子師範学校の同級生・小川うさ子役の志田彩良(25)、女子師範の教師・黒井雪子役の瀧内公美(35)。
阿部サダヲ(55)、嵩の高等芸術学校の同級生で親友・辛島健太郎役の高橋文哉(24)、海軍中尉・貴島勝夫役の市川知宏(33)。
今後、声優でもある津田健次郎(53)が新聞記者・東海林役で出演することも決まっている。
どうしてこんなに主演経験者が集まるのか。第一に中園作品に出たいからである。
中園氏がテレビ朝日「ドクターX 外科医・大門未知子」(2012年)など数々の大ヒット作を書いてきたのは知られている通り。評価も高く、ドラマ界の権威である橋田賞と向田邦子賞をダブル受賞している。
俳優たちもほかの職業人と同じく、良い仕事、後世に語り継がれる仕事がしたい。だから中園作品に誘われたら、まず断らない。
朝ドラのギャラは安い。民放ドラマの半分以下。このため、そもそも金のために朝ドラに出演する人はいないとドラマ界では言われている。
それでいて制作費は民放と大きくは変わらない、ギャラが安いことで浮いた金はどこへ流れるかというと、美術費などである。朝ドラのギャラは安いと割り切っている俳優たちにとって、精緻な美術は魅力なのである。
また、民放は1990年ごろからドラマのリハーサルをほとんどやらなくなった。だが、朝ドラはリハーサルをしっかりやる上、その前段階の本読みも行う。リハーサル前に俳優たちが脚本を読み合わせる作業である。映画並みだ。いい仕事を望む俳優たちには望むところなのである。
演出に惹かれて出演している俳優もいるだろう。チーフ演出の柳川強氏(61)はNHK内の名匠で、芸術選奨新人賞など数々の賞に輝いた人だ。
柳川氏の朝ドラは6作目。1本目は松嶋が弁護士になるヒロインを演じた「ひまわり」(1996上期)。高評を得た。2人の間には強固な信頼関係があるだろう。
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