「銀行が欲しくてたまらない」NTTドコモは4200億円かけ悲願達成 なぜ携帯各社はネット銀行を求めるのか
住信SBIネット銀行で“ドコモ優遇割”が?
では、我々ユーザーにとっての影響は、どのようなことが考えられるのだろうか。
「やはり1番最初に思い付くのは、ドコモユーザー向けの住宅ローン金利優遇ですね。既にauじぶん銀行にはキャリアがauの人は年利0.07%の割引を受けられる『auモバイル優遇割』のサービスを展開しています。今後、同じように住信SBIネット銀行でも“ドコモ優遇割”のようなサービスが展開される可能性は高いと思います」(塩澤氏)
ただし、仮にこうしたサービスが始まったとしても、ユーザーがわざわざキャリアを変更する動機となるかは不透明だ。例えばauの“格安スマホ”にUQモバイルがあるが、UQの回線を契約していたとしても、auじぶん銀行の優遇割は受けることができない。そして、両者の利用料金の差額を鑑みると「格安スマホの方が優遇割よりお得」というのが定説になっているのだ。
「仮にahamoやirumoなど、ドコモ回線を使った格安スマホでも金利優遇が適用されるようになったとしたら、ネット銀行のユーザー獲得競争の新たな台風の目となるでしょうね。ただ、それをドコモが許すかと言えば、利益面で難しい気がします……」(同)
給与振り込みに使うメインバンク、積立NISAで使う証券会社、ポイ活で使うクレジットカードなどなど……。「経済圏競争」を巡るユーザーの“最適解”はますます複雑さを増すばかり。
「たとえば私の専門である住宅ローンでも、今後、関連サービスと連携した割引施策はさらに増えていくと思います。充実化自体は歓迎すべきことですが、現在でも、割引条件の判定や、団信の保障内容などを加味した“実質金利”が分かりにくい状況です。今度はさらにきちんと比較検討することが求められるようになるでしょう」(同)
ともあれ、ドコモユーザーで近い将来に住宅購入の可能性がある人は、住信SBIネット銀行の動向を注視した方が良さそうだ。
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