鈴木大地氏の出馬に「森さんは了承しているのか」と不安の声が… 療養中の「森喜朗元首相」は参院選で出番はあるか
困った時の神頼み――。参院選を控えて逆風吹き荒れる自民党には、五輪金メダリストが“神”に見えたのか。そもそも、彼の後見人といえば「神の国発言」で世間を騒がせた元首相である。そんな二人の関係には心配事が尽きないそうな。
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【写真を見る】まさかの「安倍政権批判」をしていた…自民党が擁立を断念した女性候補とは?
自民党が抱えるお家事情
夏の参院選が近づく5月26日、自民党本部で開かれた東京都連の会合で、参院東京選挙区の公認候補に推挙されたのが、日本水泳連盟会長の鈴木大地氏(58)だった。
順天堂大学在学中の1988年、鈴木氏はソウル五輪100メートル背泳ぎで金メダルを獲得。オリンピアンとしての知名度は全国区とはいえ、今さらどうして政界挑戦なのか。
そこには自民党が抱える複雑なお家事情がある。
「自民が最後まで公認候補を絞り込めずにいたのが、東京選挙区でした」
そう明かすのは、さる自民党関係者だ。
「昨年末、都連は自民参院議員会長の武見敬三氏を現職枠で公認しましたが、残り1枠を巡り党内は混迷しました。前回の衆院選では、参院東京区から鞍替えした丸川珠代氏が落選。都連としては、固い組織票が見込める武見氏と支持層がかぶらない女性票の掘り起こしが急務でした。そこで高学歴の芸能人やNHKアナの女性に打診するも、断られ続けてしまったのです」
鈴木氏と森元首相の“関係”
女性候補を求めた結果、難民支援のNPO法人代表理事・渡部カンコロンゴ清花氏(34)に内定しかけたが、SNS上で安倍政権批判をしていた過去が発覚。党内から反対の声が上がり、4月に都連は擁立断念に追い込まれたのだ。
もはや時間切れ目前で鈴木氏出馬と相成ったわけだが、実は彼の名が取り沙汰されるのは、今回が初めてではない。
「5年前、鈴木氏はスポーツ庁長官を任期満了で退任するタイミングで、千葉県知事選に自民から出馬と報じられたことがあります」
とは、政治部デスク。
「当時の現職・森田健作知事の後釜として、千葉県連は地元出身の鈴木氏擁立を目指した。しかし県連は一枚岩ではなく、後に当選を果たす熊谷俊人氏を推す一派と分裂。ドロ沼が予想される選挙で落選したら“スポーツ庁初代長官の名を汚す”と、自民文教族のドンが鈴木氏出馬に待ったをかけたのです」
ドンとは森喜朗元首相(87)に他ならない。文科省の外局たるスポーツ庁の発足にあたり、鈴木氏を初代長官に推した大恩人である。
長官になって程なくして鈴木氏は、森元首相が会長を務めていた東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の理事にも就任。関係はさらに蜜月に。
そんなドンによる鶴の一声で、地元で恥をかかずに済んだ鈴木氏は、長官退任後、日本水連会長の座を手中に収めて今に至る。
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