73歳のレジェンド漫才師、まさかのマクドCM 唯一無二の存在感が心にジワッとしみる理由
シュールな内容
漫才コンビ「オール阪神・巨人」のオール巨人(73)がマクドナルドのCMに出演したことが話題になっている。ナレーションに続けてオール巨人が「はいこんにちは、オール巨人です」というフレーズを何度も繰り返すというシュールな内容だ。
***
【写真】「パンパンやな」…師匠がまさかのポーズ。M-1“小粒な”審査員も
セットのポテトとドリンクが期間限定でMサイズからLサイズに無料でサイズアップできるということを告知するものだった。「ポテトもドリンクも大きいサイズになる=オール、巨人」という発想から、彼の起用が決まったのだろう。若者に親しまれているファーストフードチェーンのCMに70代の大御所漫才師が出るという「異物感」が人々を驚かせた。
オール阪神・巨人は約50年にわたって日本の漫才界を牽引し続けてきたレジェンド漫才師である。テレビタレントとして仕事が増えてくると漫才をやらなくなってしまう芸人も多いのだが、彼らはそのようなルートに乗らず、漫才一筋の道を歩んできた。「M-1グランプリ」でも審査員を務めていた巨人は、漫才界を背負って立つ存在であると言っても過言ではない。
オール阪神・巨人の漫才の特徴は、幅広い世代に通用する、わかりやすくて普遍的な笑いにある。2人とも言葉が明瞭で話が聞き取りやすく、軽快なテンポで漫才を進めていく。古典的なしゃべくり漫才のスタイルを守りながらも、ネタの内容や演じ方は時代に応じて少しずつ変わっている。長年連れ添ってきた2人の間には深い信頼感があり、舞台上では互いの仕草や間合いを観察しながら、息の合ったやり取りで笑いを生み出していく。コンビとして抜群の安定感を誇っていることが、世代を超えて愛される理由である。
オール巨人のもう1つの顔は、厳格な指導者としての一面だ。かつては多くの弟子を抱えていて、後進の指導をしてきた。「M-1グランプリ」でも審査員を務め、現役のベテラン漫才師という立場から、誠実に審査を行い、若手漫才師たちの挑戦を真剣に見守り続けてきた。
一昔前に「ガチンコ!」(TBS系)の「ガチンコ漫才道」という企画で、巨人は芸人を養成する指導者の役を引き受けていたことがあった。そのときに生意気な態度を取る参加者に対して厳しい言葉を投げかけたことから、怖い人であるというイメージがついてしまった。だが、その厳しさの裏には、漫才に対する真摯な愛情と後輩への思いやりが込められていた。
[1/2ページ]