長嶋茂雄さん 2年前に「財団法人」を設立していた 専門家は「財産の散逸防止、相続税対策にもなる」

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元番記者も…

 財団の名称はそのものずばり、「長嶋茂雄一般財団法人」という。

 登記簿を見ると、所在地は大田区田園調布の自宅、設立の目的は「野球を主体に広くスポーツ全般への競技の普及、振興」うんぬんとあり、そのために、競技力向上や、健康増進を図ることなどを目的とした事業を行うと記されている。

 代表理事はミスターご本人で、他に理事3人、評議員3人が名を連ねているが、その中にK氏という人物がいる。

 前出・吉見氏によれば、

「元報知新聞の長嶋番で、最も信頼されている人物です。退職後も、長嶋さん周りの仕事をしてきた」

 というから、ミスターにとって重要な財団であることが分かるのだ。

 登記簿通りならミスターの名を冠した野球イベントなどを開催すると推測されるが、現在のところ、そうした事業を行った形跡はない。

設立のメリットは

 なぜ財団が設立されたのか。K氏に尋ねると、

「(長嶋氏の個人事務所である)オフィスエヌに聞いてください」

 と言うのみ。

「財団法人とは、資金や物の活用を目的とした法人です」

 とは税理士の浦野広明氏である。

「長嶋さんは、金銭はもちろんトロフィーなど価値あるものをたくさん保有している。それを財団に拠出することで、自身の財産を有効に管理、活用し、将来にわたって散逸を防ぐという目的もあるのでは」(同)

 オフィスエヌにも設立の趣旨を聞いてみたが、回答はなかった。

 浦野氏は、財団の設立にはまた別のメリットもあると言う。

「こちらに拠出や遺贈をすれば、その分、結果として相続の対象となる財産が減り、相続税対策にもなり得ます」

 ***

 この記事の1年後に長嶋氏は死去。訃報が流れた当日、財団の登記簿を改めて取得しようと試みたが、法務局による登記処理中のため、かなわなかった。法人には何らかの変更手続きが行われているものと見られる。

 長嶋氏が最後に財団に込めた思いとは何だったのか。

デイリー新潮編集部

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