開幕2カ月、12球団で最も“采配上手”な監督は誰!? 「ピタゴラス勝率」から見えた意外過ぎる「名指揮官」とは
12球団トップは中日・井上一樹監督
そこで全12球団の実際の勝敗と、ピタゴラス勝率から算出した勝敗を洗い出したのでご覧いただきたい(交流戦開始前の6月1日現在)。
【セ・リーグ 実際の勝率とピタゴラス勝率から算出した勝敗(引き分けを省く)】
1位 阪神 30勝20敗/34勝16敗(-4)
2位 DeNA 26勝21敗/30勝17敗(-4)
3位 巨人 28勝24敗/26勝26敗(+2)
4位 広島 24勝23敗/26勝21敗(-2)
5位 中日 23勝26敗/19勝30敗(+4)
6位 ヤクルト 14勝31敗/12勝33敗(+2)
【パ・リーグ 実際の勝率とピタゴラス勝率から算出した勝敗(引き分けを省く)】
1位 日本ハム 29勝20敗/31勝18敗(-2)
2位 オリックス 25勝21敗/22勝24敗(+3)
3位 西武 27勝23敗/28勝22敗(-1)
4位 ソフトバンク 24勝24敗/26勝22敗(-2)
5位 楽天 23勝26敗/21勝28敗(+2)
6位 ロッテ 17勝31敗/16勝32敗(+1)
※()内は実際の勝利数とピタゴラス勝率から算出した勝利数の差
12球団の中で最も“プラス”の乖離があったのは、中日の「+4」。19勝30敗であってもおかしくない得失点差にもかかわらず、実際は23勝26敗で乗り切っていた。
昨季まで3年連続で最下位に沈み、今季も12球団最少得点の貧打に苦しむ中、井上一樹監督はでき得る限りの戦略と戦術を用いて、何とか最小限の借金で踏みとどまっている。もちろんチームの勝利には采配以外の要素が占める部分も大きいが、4勝の上積みに成功していることは、井上監督の手腕による面も少なからずあるだろう。
一方でパ・リーグの采配上手は、オリックスの岸田護監督。170得点、175失点なので、本来は負け越していてもおかしくない状態だが、貯金をつくることに成功している。投手陣のやりくりに苦労しつつも、リーグ2位で交流戦に突入した岸田監督の手腕には合格点を与えてもいいだろう。
真の実力チームは阪神とDeNA?
もちろんこれらの数値と監督の采配力は必ずしもイコールというわけではない。しかし、こと井上監督と岸田監督に関しては、1軍監督の経験がないところからのスタート。“ルーキー監督”として評価に値する仕事をしているのではないだろうか。
2人の采配力の高さは、接戦時の粘り強さにも現れている。仮に2点差以内で決着した試合を接戦と定義するとすれば、井上中日が17勝14敗(2分)、岸田オリックスが14勝8敗(3分)と、ともに接戦の試合で勝ち越していることも高く評価できるだろう。
最後に、ピタゴラス勝率が示すもう一つの重要なことが、今後の傾向である。例えばプラスの乖離が大きかった中日とオリックスはもともとの総合力は実際の勝率よりも下。つまり今後は苦戦を強いられる可能性が高いということになる。
逆にピタゴラス勝率が実際の勝率よりも高かった阪神、DeNA、日本ハム、ソフトバンクなどは、“真の実力チーム”と呼べるだろう。今後はセオリー通り、実際の勝率がピタゴラス勝率に追いついていくことになるのだろうか。
いずれにしても、「投高打低」が続く今季も1点の重要度が非常に大きく、それだけ監督の采配が勝敗を左右する確実が高くなる。井上、岸田両監督は、指揮官として迎える初めての交流戦で、どのような形で白星を拾っていくのか。2人の今後の采配に要注目だ。




