「1年で弟子の半数が引退」 相撲協会と「元白鵬」の確執 最大の被害者は「旧宮城野部屋の力士たち」 弟子の母親は「扱いが酷すぎる」
「すでに引退している子も」
いずれにせよ、宮城野親方の手塩にかけて育ててきた弟子の半分が、近いうちに角界を去る可能性が出てきたのだ。これはもう、ファミリーの実質的な崩壊といえる。
「休場扱いの力士の中には、すでに引退している子もいるんです」
と明かすのは、旧宮城野部屋のさる後援者だ。
「それが反映されていないのは、部屋の異変に気付かれたくないという、協会の保身のためではないか――。そう勘繰りたくもなります。ある力士からは“他に10人ほどが引退したか引退を考えている”と聞きました」
また、
「宮城野親方はあの不祥事以来、完全に牙を抜かれて協会の言いなりになってしまいましたよ」
と嘆息するのは、別の後援者だ。
「ある力士は引退届を出した後、すぐに親方から“今日中に荷物をまとめて出て行け”と言われたそうです。当初は断髪式が終わるまでいてもいいとのことでしたが、“上司”の伊勢ケ浜さんの命で前言を翻してしまったよう。結局、その力士は断髪式も行ってもらえないそうです。4月以降、親方は弟子の親御さんのところを謝罪行脚に回っているそうですが、これも伊勢ケ浜さんからの指示だと聞きました」
「大の里の件は」
史上最多の優勝回数と勝利数を誇る大横綱にとっては、屈辱極まりないことだろう。
一方で、
「これまで角界で功績を残してきた宮城野親方に対して、この扱いはひどすぎます」
と不満を口にするのは、さる弟子の母親である。
「確かにあの不祥事については親方の責任は免れられませんが、ではこの間の大の里の件は一体何なのでしょうか」
現小結・大の里が20歳未満の同門の力士に飲酒を強要して処分された一件だが、
「師匠の二所ノ関親方は厳重注意で済んだ。協会がどういう基準で処分を決めているのかさっぱり分かりません。現役力士のためにも、早く部屋を元に戻してほしいのですが……」(同)
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この記事から1年経っても、宮城野親方を巡る混乱は収まらなかった。5月28日に相撲協会は先の夏場所限りで引退した力士を発表。その中には、旧宮城野部屋所属・三段目の雷鵬と、序二段の小野が含まれていた。閉鎖以降、同部屋での9人目、10人目の引退力士である。上記記事が示唆した通り、1年で19人のうち10名、つまり半数以上が土俵を降りたことになったわけだ。
相撲協会と宮城野親方との確執ばかりに注目が集まるが、両者のあおりを受け、志半ばで角界を去ることになった彼らの悲劇は、決して忘れられるべきではない。
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