マキロイに続け…盛り上がる「次のキャリアグランドスラマー」予想、54歳ベテランにも“ミラクル”の可能性あり
マキロイが重荷に耐えた11年間
今年4月のマスターズで悲願の初優勝を挙げ、メジャー4大会すべてを制覇するキャリアグランドスラムを達成した北アイルランド出身のローリー・マキロイは、米メディアからの「次に目指すものは何か?」という問いかけに、こう答えた。
「もう追い求めるものはない。これから達成するものはすべて、僕にとってはボーナスだ」
【写真】「次のキャリアグランドスラマー」予想に上がっている選手たち
ほしいものは全部手に入れたと言い切ったマキロイの返答から、グランドスラムを達成することがどれほど大変であったかが伝わってきた。
マキロイがマスターズ初優勝ににじり寄りながら、最終日の後半に大崩れして15位タイに終わったのは2011年の春のことだった。
傷心のマキロイは、それからわずか2か月後に全米オープンで勝利を挙げてメジャー覇者となり、2012年には全米プロ、2014年には全英オープンと全米プロで勝利して、みるみるうちにメジャー4勝を達成した。
「残るは、あと1つ。マスターズで優勝すれば、キャリアグランドスラム達成だ」と言われ始めたが、大きな期待が込められたそのフレーズは、逆に重すぎるプレッシャーとなってマキロイにのしかかった。その結果、以後11年間、偉業は達成されることなく歳月が流れていったが、ついに今年、彼はグリーンジャケットを羽織り、長年の重荷からも解放された。
変化した「グランドスラム」の定義
ゴルフ・ヒストリーに目をやれば、ゴルフ界でグランドスラムなるものを初めて達成したのは、球聖ボビー・ジョーンズと言われている。
ただし、ジョーンズは生涯をアマチュアで通したため、1930年に全米オープン、全米アマ、全英オープン、全英アマの4大会をすべて制覇したことで「年間グランドスラム達成」とうたわれた。この時点では、プロとアマチュア、双方の大会が入り混じったグランドスラムだったのだ。
プロのみのゴルフ界においても、1931年にやはり現在のメジャー4大会とは異なる6大会の全制覇をやり遂げたトミー・アーマーとウォルター・ヘーゲンも、広義では「キャリアグランドスラマー」とされている。
近代のグランドスラムは「夢の偉業」
しかし、マスターズ、全米プロ、全米オープン、全英オープンという現在のメジャー4大会をすべて制覇する近代のグランドスラムを達成したのは、これまで5名だけだった。ジーン・サラゼン(1935年)、ベン・ホーガン(1953年)、ゲーリー・プレーヤー(1965年)、ジャック・ニクラス(1966年)、タイガー・ウッズ(2000年)である。
ニクラスからウッズまでは34年かかった。そしてウッズ以後は四半世紀もの間、達成されず、競争が激化している現代においては、もはやグランドスラムは夢の偉業であって、現実には起こりえないもののように見られていた感さえあった。
マキロイ自身、「サラゼン、ホーガン、プレーヤー、ニクラス、ウッズという偉大なる人々に僕が並べるのかと問われたら、あまりにも恐れ多くて、イエスと即答することができなかった」と明かした。
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