就職氷河期世代が政争の具に…厚労省が作り上げた“ストーリー”で歪められる「年金改革法案」論争の内幕

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参院選前の見せ場

 一方、政党の中で氷河期世代支援を最も強く打ち出しているのは国民民主党である。

 政治ジャーナリストの青山和弘氏によると、

「国民民主党は就職氷河期世代を完全にターゲットにしているので、年金改革法案に関する国会論戦で安易に妥協することはないでしょう。参院選前の最大の見せ場になるわけですから」

 今国会の会期終了は6月22日である。上記3党の合意によって、会期末までに法案が成立する公算は大きくなったが、いずれにせよ、国会終盤まで就職氷河期世代という言葉が繰り返し飛び交う事態となることは間違いなかろう。

就職氷河期世代をめぐる誤解

 しかし、実は低年金の問題はこの世代に限った話ではない。

 社会保障審議会年金部会委員として昨年、年金の財政検証に携わった権丈善一・慶應義塾大学商学部教授はこう述べる。

「年金の面で特別に問題を抱えた世代があるわけではありません。むしろ、前の世代よりも次の世代の方が月額10万円未満のいわゆる低年金者の割合が減少していくというのが財政検証の結果です」

 それどころか、「非正規雇用が多い」「支援の手から置き去りにされている」などという就職氷河期世代をめぐるイメージ自体にも、誤解があるという。

 有料記事【年金法案で政争の具に…データが示す「氷河期世代は低年金・非正規雇用多数」の誤解と「厚労省」「マスコミ」の罪】では、「低年金」「非正規雇用が多い」など、就職氷河期世代が「社会から置き去りにされている」という通説に関する世の中の“誤解”や、それを生み出した厚労省やマスコミの“罪”について、様々なデータを用いて検証している。

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