打点と得点圏打率で「大谷超え」…カブス「鈴木誠也」がついに“覚醒” 「屈辱のスタメン落ち」「オフのトレード報道」地獄の昨シーズンから“復活”を遂げた理由

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守備が与えた影響

「結局、トレード話は流れ、鈴木選手は今年3月、日本で行われた対ドジャース開幕戦に出場しました。テレビでご覧になった方も多いと思いますが、DHで2試合に出場したものの、全くいいところがありませんでした。アメリカに戻ってからも不調は続き、3月の成績は打率1割6分2厘、出塁率2割2分2厘、得点圏打率は0割0分0厘という深刻な内容だったのです」(同・友成氏)

 ところが鈴木に転機が訪れる。4月3日の対アスレチックス戦にDHではなくライトで出場したのだ。すると2回表にスリーラン、4回表にソロホームラン、そして7回表にはタイムリーヒットを放つ大活躍を見せる。

「鈴木選手は守備にこだわりがあります。昨年12月には代理人が『DHではなく外野手としての出場を望んでいる』と明かしていました。これに対し、カブスのクレイグ・カウンセル監督は1月のファン感謝イベントで、鈴木選手をDH専任で使うと明言しました。ところがケガ人が出た関係で、4月から鈴木選手が外野を守る必要が生じたのです。やはり嬉しかったのでしょう。打撃成績が劇的に上向いた理由だと思います」(同・友成氏)

 もちろん今でもDHでの出場が多いのは事実だ。しかし「絶対に外野を守れない」と「外野を守るチャンスがある」の違いは大きいだろう。

2番と3番が大活躍

 昨シーズンの屈辱的な起用、シーズンオフのトレード報道、3月の不調という崖っぷちを経て、鈴木は4月に奇跡の復活を果たした。4月の打撃成績は打率3割4分2厘、出塁率4割1分1厘、得点圏打率4割2分9厘、本塁打6本だった。

 友成氏は「今シーズンの鈴木選手は非常に勝負強いです」と言う。

「5月27日のデータになりますが、面白いことにランナーのいない場面だと鈴木選手の打率は2割5分です。ところが得点圏打率だと3割7分3厘に上がり、満塁時には5割5分6厘という凄まじい打率です。鈴木選手の勝負強さは、打点と得点圏打率で大谷選手を上回っているのが何よりの証拠です」

 さらに友成氏は「2番がカイル・タッカー選手、3番が鈴木選手、というスタメンも機能しています」と指摘する。

 タッカーは昨年12月にトレードでアストロズからカブスに移籍した。2021年と22年の30本塁打、23年の29本塁打も素晴らしいが、注目ポイントは出塁率だ。昨シーズンは4割0分8厘という驚異的な数字だった。

「タッカー選手が塁に出てくれるので、ランナーを背負った投手は勝負強い鈴木選手と対戦せざるを得なくなります。そして見事に鈴木選手がホームランやヒットを放つというパターンが定着してきました。鈴木選手の勝負強さは配球を読み切り、山を張って見事に仕留めるところにあります。崖っぷちから復活を果たした強靱な精神力を考えれば、今シーズンの大活躍は間違いないのではないでしょうか」(同・友成氏)

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