芸能界の「理不尽さ」と戦ってきた俳優たちが躍動 Netflix「新幹線大爆破」ヒットの背景

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4週連続で第1位

 Netflixで配信中の樋口真嗣監督が手がけた映画「新幹線大爆破」が話題を呼んでいる。配信が始まってすぐに大反響を巻き起こし、日本週間TOP10(映画)で、4週連続で第1位となった。

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 この作品の元になっているのは、今から50年前の1975年に公開された映画「新幹線大爆破」である。新幹線が速度を落とすと爆弾が爆発するというスリリングな設定が評判になった。キアヌ・リーブス主演の世界的ヒット作である「スピード」にも影響を与えたという説もある。

 今回のNetflixの「新幹線大爆破」は、そんな昔の映画のリブート版である。新幹線が爆破の危機に陥るという状況だけは同じだが、それ以外のストーリー、登場人物、時代設定などはすべてリニューアルされている。

 この作品がヒットした理由として主に挙げられているのは、樋口監督が特撮とCGを駆使して作り上げた迫力満点の映像のすばらしさや、「シン・ゴジラ」と同様に責任感の強い大人たちが規律を守りながら危機に立ち向かう姿を生き生きと描いたところなどである。ただ、ここではあえてそれ以外の部分についてスポットを当ててみたい。

 身も蓋もない話だが、「新幹線大爆破」が熱狂的に支持された最大の理由は「走り続けなければ爆発する」という極限設定の根源的なスリルにある。物語の核となるこの仕掛けは「爆弾」と「暴走列車」という2つのサスペンス要素を融合させたものであり、人間の根源的な恐怖と興奮を呼び起こす。

 新幹線は止まれない。なぜなら、スピードを緩めた瞬間に乗客ごと爆発するからだ。この単純明快なルールは、観客に強烈な緊張感を与える。この手の「時間制限つきミッション」型の物語というのは、いつの時代にも色褪せない普遍的な面白さを持っている。人々の価値観が多様化して情報量も増えている現代においては、こうしたシンプルなルールこそが見る者を強く物語へと引き込むことになる。

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