「ついに日産車の選手貸与がなくなった」…横浜F・マリノスを“経営危機”日産が手放す日 J2降格危機に「売ってもらった方が強くなる」との声も

スポーツ

  • ブックマーク

“安い買い物”

 ここ最近のJリーグでは、クラブの売却が珍しいものではなくなっている。

 2019年、鹿島アントラーズの親会社だった日本製鉄は、チームの株式61.6%をメルカリに売却した。昨年8月には、オーストリアの飲料大手メーカー「レッドブル」が、J3大宮アルディージャ(今季はJ2)を買収。初めて外国企業が筆頭株主のチームが生まれた。

「鹿島の譲渡金額は16億円です。欧州リーグと比較するとあまりにも安すぎると、日本サッカー協会の岡田武史副会長が絶句していました、また、レッドブルの買収金額に至ってはわずか3億円。レッドブルにとってはただ同然の金額でこれから伸び代があるだろう、Jクラブを獲得できたのですから、御の字です」(Jリーグ関係者)

 Jクラブは“安い買い物”と見られているのだ。となれば、名門・マリノスには買い手はたくさんいるはずだ。

社長は「活動継続」

 5月24日、エスピノーサ社長は地元・神奈川新聞のインタビューに答え、マリノスを「活動継続」と明言。しかし、それを額面通りに信じるファンはいない。本社と主力工場の売却が取り沙汰され、従業員の15%が整理されようとしている中、どこまでクラブチームを維持できるか。あるいは、維持するべきなのかは、議論が分かれるところである。実際、ゴーン社長は過去の経営危機の際、「潰さない」と明言した野球部を休部にした。マリノスに手を付けなかったのは、ゴーン自身、ブラジルで幼少期を過ごしたことがあり、サッカーに愛着があったためとも言われている。しかし、そのゴーンはとうにいない。

 さらには、チームからNISSANの名が消えることには反対の声が大きいが、一方で、少なからぬサポーターの間ではこんな声もある。

「今の日産ではチームの再建は無理。どうせなら、CFGか、他の有力企業が買ってくれた方がよほど強化に繋がる……」

 いずれにせよ、J2に降格となれば、日産がマリノスを持つ価値はますます薄れ、売却の可能性はさらに高まることであろう。残り21試合。ピッチ内外でマリノスの崖っぷちの戦いは続く。

小田義天(おだ・ぎてん) スポーツライター

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 3 次へ

[3/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。