「ついに日産車の選手貸与がなくなった」…横浜F・マリノスを“経営危機”日産が手放す日 J2降格危機に「売ってもらった方が強くなる」との声も

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 サッカーJ1、横浜F・マリノスが土俵際に追い込まれている。今季は開幕から不甲斐ない戦いが続き、現在、最下位に沈む。Jリーグがスタートして33年目にして、クラブ史上初となるJ2降格が現実味を帯びてきているのだ。一方、親会社の日産自動車は巨額の赤字を計上し、経営再建が喫緊の課題。チームの売却……そんなシナリオすら囁かれている。名門・マリノスのユニフォームから、ついに「NISSAN」のロゴが消えるのか。裏側を探った。

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ブラジル人選手の“造反”

 伝統の守備力をベースに、スピーディーな攻撃で相手を圧倒する。それがマリノスのサッカーだが、今季は見る影もない。開幕から17試合を終えて2勝10敗5分けで、勝ち点は11。4月から5月にかけてはクラブ史上初の7連敗を喫した。連敗中には今季就任したばかりのスティーブ・ホーランド監督を更迭したが、チームはその後も上向かない。

 5月25日の試合ではようやく意地を見せ、首位・鹿島アントラーズを3-1で下し、12戦ぶりの勝利を手に入れた。もっとも、

「3得点すべてに絡んだのは、FWのブラジル人、アンデルソン・ロペス。2年連続で得点王に輝いたエースですが、その彼はチームに“造反”しているんです。練習を途中で切り上げたとも報じられ、4月20日の浦和レッズ戦の後では、“監督は変わったけどやり方は変わっていない”“このままでは恥をかく”と記者の前で公然と采配批判をした。これを受け、SD(スポーティングダイレクター)がロペス本人に“行き過ぎたアクションは良くない”と厳重注意をしています。2得点を上げたヤン・マテウスもブラジル人。火種を抱えたままで、とてもサッカーをする体制とは言えない」(サッカー誌ライター)

フロントもバラバラ

 選手を束ねるフロント陣からしてバラバラだ。

 引き金となったのは、西野努SDの招聘である。浦和レッズの強化担当だった西野氏を、中山昭宏社長が昨シーズン途中に引き抜いたのだが、

「シーズン途中で他チームのフロントを引き抜くこと自体が異例ですし、そもそも前任のレッズ時代も目立った結果を残したわけではありません。マリノスのほとんどの職員が唖然茫然でした。強化部のスタッフからは、なぜ西野さんを呼ぶのか? と社長へ直談判した人物もいた」(マリノス関係者)

 結局、多くの反対があったことから中山社長は西野氏を一旦、英プレミアリーグのマンチェスター・シティのオーナー、シティ・フットボール・グループ(CFG)へ事実上の“出向”をさせた。CFGは日産(約75%)に次ぐマリノスの大株主でもある(約20%)。そしてほとぼりを冷ました後、今季から西野氏を、チーム強化を統括するSDに就任させた。しかし、その西野SDは現在のブラジル勢中心から、欧州勢中心のチーム編成を模索。それを知ったロペスをはじめとするブラジル勢の士気が下がっていたのも事実。また、その西野氏が今季、「マリノス強化に向けて最高の監督」として連れてきたのが前出のスティーブ・ホーランド、元イングランド代表コーチである。解任を受け、西野氏は「失敗と認めざるを得ない」と述べたが、マリノスは昨年もシーズン途中でハリー・キューエル監督を解任している。フロントへの疑念の声は高まるばかりだという。

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