西武・高橋光成は13連敗でストップ! “連敗地獄”から脱出した投手の「その後」…歴代ワーストの3年にも及ぶ「大連敗記録」も
連敗ストップに「初勝利のようなうれしさがありました」
平成以降では最多の15連敗を記録したのが、オリックス時代の川越英隆だ。1999年に逆指名のドラフト2位でオリックス入りした川越は、1年目にチームトップタイの11勝を挙げ、翌00年も右肘の故障で途中離脱するまで8勝を記録するなど、エースとして活躍した。
だが、4年目の02年は、3勝3敗で迎えた5月12日の西武戦から12連敗を記録し、長いトンネルに突入する。翌03年も0勝3敗でシーズンを終え、前身球団・阪急の先輩・梶本隆夫が1966年から67年にかけて記録したパ・リーグワーストの「16」まであと「1」に迫った。
04年も開幕から先発ローテ入りしたが、3年目に突入した長い不振から脱出するきっかけをなかなかつかめない。4月16日の近鉄戦では、結果的に負け投手こそ免れたものの、2回2/3を7安打2四球5失点と炎上。降板後、伊原春樹監督から「同じことを何度も繰り返している」と異例の公開説教を受けた。
そして、「弱気なピッチングだけはすまい」と開き直ってマウンドに上がった4月24日のロッテ戦、川越は7回を8安打4四球と苦しみながらも無失点に抑え、ついに720日ぶりの白星を手にした。
「初勝利のようなうれしさがありました。連敗中、声援を送ってくれたファンに感謝したい」と精神的に吹っ切れた川越は、6月に3連勝するなど、同年は7勝と復活。翌05年から3年連続開幕投手を務め、06年には9勝を記録するなど、ロッテ移籍後の3勝も含めて、連敗脱出後に計31勝(通算54勝)を挙げた。
「家を出るときは元気良く行ったほうがいいよ」と妻に励まされ
現役では、ヤクルト・石川雅規も、通算8度目の開幕投手として史上最年長37歳2ヵ月で開幕戦勝利を挙げた2017年に、4勝3敗で迎えた5月24日の広島戦からシーズン終了までまさかの11連敗を記録した。
10連敗目を喫した9月5日のDeNA戦は、6回を4安打1失点の好投にもかかわらず、打線の援護を得られないまま、0対1で降板して負け投手になるという不運に泣く。プロ16年目のベテランも「もう勝てないんじゃないか」とすっかり自信を喪失し、シーズン終盤には、家を出るときも「気づいたらうつむいていた」という。
そして、同12日の中日戦では「喉から手が出るほど勝ちたい」の気持ちが空回りし、3回6失点KO。球団では国鉄時代の1961年の金田正一と並ぶワーストタイの11連敗となり、直後に2軍落ちしたまま、不本意なシーズンを終えた。
だが、「辞めるのは簡単。でも、まだまだやり返したいという気持ちをバネにやりたい」とリベンジを誓った通算156勝の左腕は、翌18年3月31日のDeNA戦で、6回2/3を6安打3失点に抑え、前年5月18日の巨人戦以来の白星を手にした。
連敗中「家を出るときは元気良く行ったほうがいいよ。子供(男の子が2人)が暗い顔で学校に行くのは嫌でしょ」と夫人にアドバイスされて以来、家を出るときは元気に「行ってきます」と言うよう心掛けてきた石川は「一番のファンは家族。まだまだ頑張るぞって姿を見せたいと思っていた。ウイニングボールを増やしていきたいです」と意欲を新たにした。
その後も昨季まで計30勝を積み上げ、45歳になった今季は、通算200勝にも手が届くところまで来た。
冒頭で紹介した西武・高橋のチームメイト・隅田知一郎も、1年目の2022年にパ・リーグ新人では初の10連敗を記録し、翌23年まで2年がかりで12連敗を記録したが、連敗脱出後は2年連続9勝をマーク。今季も“勝ち頭”として、チームを支えている。
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